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奈良市西大寺地区「秋祭り」10月8、9日に6年ぶり復活 伝統継続へ新たな試み導入

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6年ぶりに巡行される西大寺地区のみこし・太鼓台(西大寺地区自治連合協議会提供)

 奈良市西大寺地区の秋祭りが8、9の両日、6年ぶりに復活する。住民の高齢化でみこし・太鼓台の引き手確保が困難になったり、コロナ禍で自粛したりで中止が続いていた。祭りの維持が難しくなる中、新たな試みを模索しながらの再開となる。「西大寺」の名を冠した自治会でつくる同地区自治連合協議会は「伝統行事を次世代につなげ、地域も活性化させたい」としている。

 

 地区のみこし・太鼓台は創建時期が不明だが、ケヤキ材で装飾性が豊か。屋根はふとんみこしが多い周辺地域では珍しく社寺のような形状で、巡行の出発前には西大寺の僧侶による仏式でおはらいを受けるのも特徴。一説には重さ約2トンともいわれ、担ぎ棒は長さ約8・4メートル。昔は若者らがみこしとして担いでいたが、現在は住民の高齢化もあり太鼓台として引いている。

 

 秋祭りを6年ぶりに復活させるため、主催する西大寺地区自治連合協議会は秋祭り実行員会を組織。祭りに詳しい関係者が高齢となり、伝承が困難になってきているみこし・太鼓台の組み立てや運営の記録にも力を入れる。

 

 みこし・太鼓台はこれまで女人禁制だったが、今回から女児も乗り子を務められるようにし、地区内で小学2~4年の児童を募集した。引き手も小学3年以上で募り、当日は大人も含めて総勢130人余りが参加する見込みだ。子どもみこしは中止する。

 

 菅原天満宮まで巡っていた巡行コースも見直し、西大寺地区内の約10キロを予定。途中、八幡神社や十五所神社を参拝する。8日の宵宮はみこし・太鼓台を組み立て、太鼓のたたき方を練習。9日の本宮は午前8時から午後3時15分ごろまで巡行する。

 

 慣習にとらわれない新たな試みを取り入れての祭りの復活。伝統行事の伝承や地域活力の維持・向上に向けて関係者の期待も大きい。

 

 秋祭り実行委員長の岡本森廣さん(73)は「人と人とのコミュニケーションが希薄になり社会構造が弱体化する中、日本の伝統文化を守るモデルケースになれば」。自治連合協議会長の坂本章弘さん(67)は「子どもたちが地域としての思い出を持つことで、大きくなって地区外に出ても将来また戻ってきてもらいたい」と話す。

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