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音羽山観音寺後藤住職の花だより - 未完成な庭編 2024年5月中旬(4)

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本堂前のプランターを眺める住職

 昼にはやむかと思った雨は、午後になっても降り続きます。無量庵の縁側で、住職の庭を眺めながら山の暮らしについて聞きました。

 

 

音羽の観音さんとして信仰され

 音羽山観音寺は眼病に効く「音羽の観音さん」として古くから信仰されています。今も多くの信者さんがお参りに訪れますが、中にはおばあちゃんの代から来ているという信者さんもいるそうです。

 

 「お参りに来てくれる人がいるから、お寺を守っていけるの。私が来る前から来てくれている人もいるのよ」

 

 歴史でいえば、飛鳥時代までさかのぼる観音寺です。こんなに山深い地で、長い間、信仰され続けてきたことには驚きと、人の思いの強さも感じます。

 

 住職は20代で得度し、30代には観音寺に入っています。

 

 「田舎で生まれ育って、都会へのあこがれもなかったから楽しかったわ」と明るく当時を振り返ります。先代の住職が病気で廃寺寸前になっていた観音寺は、住むには大変な状況だったようです。

 

 「若かったからできたのね。楽しんでやってきたから、どんなことが起こっても嫌とは思わないの」

 

 その気持ちは今も変わらないようで、今も「何もかも受け入れて、楽しんで生活している」といいます。

 

ポポーも花は終わり。実ができるかどうかはお楽しみ

 

 

未完成なものの方が魅力的

 「人間、未完成なものの方が魅力を感じると思わない?どれもこれもやりかけ」

 

 縁の近くのプランターにポンテデリアが植えられています。25年ほど前、花好きな信者さんが持って来てくれたものだそうです。同じプランターに、サクラタデやクレソン、住職が好きなサワギキョウが植えられています。

 

ポンテデリアの植えられたプランター。サクラタデやクレソンも同居している

 

 「(ポンテデリアは)花が咲くときれいなんだけど、肥料をあげると大きくなりすぎるからあげないの。でも、そうしたら花が咲かないし…」

 

 プランターの花を地植えしようか、植え替えようか、肥料をあげようか…。そんなことを考えながら、庭を見て回るのが楽しいとのこと。

 

 「乱雑な方が見ていて飽きないのよ。きっちりできない負け惜しみかもしれないけど。私が自分で満足しているからこれでいいのよ」

 

 庭に「完成」はないのかもしれません。

 

縁側から見る住職の庭。緑にもいろいろな種類がある

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。

火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門

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