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音羽山観音寺後藤住職の花だより - 住職の好きな花編 2024年5月中旬(3)

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住職の庭にはミヤコワスレがあちらこちらに

 雨降りの音羽山観音寺。この日、無量庵に生けられていた花はフタリシズカとミヤコワスレという、なんとも雅な名前の花。どちらも境内に咲いている花ですが、住職の手で生けられるとそれぞれの存在感がより感じられます。

 

 

住職が好きなミヤコワスレにクリンソウ

無量庵に生けられたフタリシズカとミヤコワスレ

 

 フタリシズカは、前回登った時に「もう少ししたら咲くから次に登る時は終わっているかも」と言われていました。何とか間に合ったようです。無量庵に生けられている花のことを住職に聞くと、

 

「フタリシズカと、後ろはミヤコワスレ。好きな花なの。洗心にも生けてあるわ」

 

 大きな葉を広げるフタリシズカと一緒に、凜と一輪生けられた花があります。これがミヤコワスレ。そんなに大きくなく、濃い紫や薄い紫、淡いピンク色の花を咲かせます。清楚な雰囲気の花です。

 

洗心に生けられたミヤコワスレ。27年ほど前に境内にあった菩提樹を花入れに使っているとのこと

 

 もう一つ、この時期に住職が好きな花にクリンソウがあります。

 

 「九輪草というけど、ここで咲く花を数えても多くて七輪ね」

 

住職の庭で緑の中に咲くクリンソウ

 

 下から段になって咲く様子が、寺の塔の上の飾りである「九輪」に似ていることからつけられた名前だそう。住職は昔、高野山で十三輪あるクリンソウを見たことがあるそうです。高山植物で、標高の高い場所でしか咲きません。宿根草で種もできます。

 

 

宿根草は人の一生のよう

 クリンソウが好きな住職。増えたら良いなと、不動堂近くの斜面に「ここで頑張りや」と種をまいたそうです。雨がやんで、その場所を見せてもらいました。力強く50~60本のクリンソウが花を咲かせていました。

 

不動堂近くに生えているクリンソウ

 

 「ここの気候が合っているんでしょうね」

 

 住職が種をまいたという場所から少し離れた場所にもクリンソウが花を咲かせていました。

 ほかにも住職の好きな花は数えきれないほどあります。

 

 「山野草が好きね。どちらかと言えば宿根草が好きかな」

 

 咲くのは年に一回だけですが、枯れても翌年また花を咲かせます。

 

 「一年を繰り返して生きている、人間の一生みたいでしょ」

 

 毎年、住職は庭を見ながら「今年も頑張れ」と応援し続けているのかもしれませんね。

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。

火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門

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