奈良公園に修学旅行生の姿が戻ってきた。…
奈良公園に修学旅行生の姿が戻ってきた。コロナ禍の影響は続いているが、楽し気に歩く若者の集団を見ていると、何だかうれしくなってくる。
ライトノベル作家、遠藤遼さんの作品で冒頭部分に「奈良には中学3年生のとき修学旅行に行ったはず」という下りがあったのを思い出す。
続きは「どうやって行ったのかすっかり忘れてしまっていた」。奈良を舞台にした作品で、主人公が東京から京都を経由、近鉄で奈良にやってくる際に心中でもらしたつぶやきだ。
修学旅行の記憶なんて大方そんなものだろう。よほど関心が高く、計画づくりにも積極的に参加したのでない限り、何を見たかも忘れがち。
ただ若いときの経験、感じたことは意外に長く印象として心に残っていたりもする。名所旧跡だけでなく先生に連れられて歩いただけの街角や、ちょっとした人との触れ合いなど。
修学旅行生は経済波及効果が低そうだが、未来のリピーターを育てる意味でも大いにもてなしたい。そして日本中の人が修学旅行で奈良を訪れたと話し、また行きたいと言ってくれるようになればと願う。(松)