近鉄百貨店奈良店の地階に、県産品の魅力を発信する店舗「大和路」がオープンした。近鉄百貨店の「地域商社」事業として初の取り組みだ。

　開店初日には、時流に敏感な人々が多数訪れていた。清酒や和洋菓子、調味料、ジャム、豆腐など多彩な品ぞろえ。本紙で紹介した品々もあり、親近感が湧いた。

　「地域商社」は、地域の中核企業が生産者と協力して地元産品を大都市などに売り込むビジネスだ。今事業では生産と加工、販売に総合的にかかわり、県産品のブランド化や販路開拓、商品の共同開発なども行うという。

　扱う県産品の良さを口コミで県外に広げたいとの思惑もあるようだ。県民も一緒に奈良の食を盛り上げてほしいといったところか。

　宣伝する立場で見ると、店内は可能性に満ちている。ある程度知られた商品の一方で、なじみは薄いが今後の伸びしろが感じられる品が数多く存在するからだ。

　お気に入りは自分だけの宝物にしたい心理もある。だが、魅惑的な商品の姿を前にすると、味を確かめ、だれかに語ってみたい気分にもなる。育ての親になるのも悪くない。(智)