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国原譜


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2017年10月22日 奈良新聞

 「空の青さや海の匂いのように万葉の歌人が、その使用法をよく知っていた『かなし』という言葉のようにかなしい」。モーツアルトの音楽を評して小林秀雄はこう表現した。

 弁護士の下村敏博さん(67)が万葉集の歌に曲をつけ、所属するアンサンブル・シュバリエのコンサートで3曲が初披露された。西洋のスタイルで書かれた下村さんの曲を聴いて、前述の小林エッセーが頭に浮かんだ。

 九州防衛のために遠国から徴用され、故郷を思う防人(さきもり)の歌、謀反の疑いで捕らえられて護送される途中の有間皇子の歌、自殺した娘をしのんだ母の歌。

 純粋無垢な万葉人の心情だ。3曲はいずれもかなしい。万葉集には「かなし」という言葉が114語あり、悲哀、愛しい、孤独など幅広く使われているという。

 終演後は聴衆から「非常に素晴らしかった」との声があった。歌曲から1300年前の「かなし」が伝わった。

 下村さんは6年前、万葉歌コンクールで明日香村長賞を受けた。それから書き溜めた万葉歌27曲で楽譜集を出した。来年にはCD化などを予定している。(栄)

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