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金曜時評

意義深い一体開催 - 編集委員 松井 重宏

 「第32回国民文化祭なら2017(国文祭)」と「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会(障文祭)」が、きょう1日、県内を会場に開幕する。国文祭は名称にある通り、市民が取り組む文化活動を発表、交流する全国規模の大会で、今回初めて障文祭と一体開催。障害の有無にかかわらず、すべての人が文化、芸術を通して感動を共有できる大会が目指されており、その意義を再確認したい。

 両祭は、それぞれ文部科学省、厚生労働省の所管で、開始時期も異なるなど、これまで別の催しとして行われてきた。それが一体開催されることで発信力の向上や経費節減などの効果に加え、新たな価値の創出、発見も期待されている。来年以降も同時実施の予定で、県開催を機に二つの“文化の祭典”が新たな一歩を踏み出す。

 イベントでは、目で見るだけでなく手でも触れることができるなど五感で楽しむ展覧会や車いすダンスパフォーマンス、バリアフリー映画祭などを実施。各会場で手話や点字による通訳も積極的に導入する。

 両祭がテーマに掲げるのは「日本文化の源流を探る」「文化の今を楽しむ」「文化芸術立国の礎を築く」「障害のある人とない人の絆を強く」の4点。この中では県が持つ豊かな歴史文化が強く打ち出されているが、同時に、県内には、障害者の文化芸術活動で全国の先駆けとなった草分け的存在の「たんぽぽの家」があることも忘れてはならない。また桜井市の男性が専用盤を開発、世界に広まった視覚障害者囲碁の国際大会も開かれ、発祥の地をアピールする良い機会になりそうだ。

 実施されるイベントは計103件で、会場となるのは県内すべての37市町村。加えて恒例の「県大芸術祭」も同時開催されるとあって、11月30日までの3カ月間は身近なところで、さまざまな文化芸術イベントに出会えるだろう。全国から訪れる出演者や観客を歓待するとともに、県民自らも積極的にイベントに参加、楽しむことで祭りを盛り上げたい。

 県内で開かれる全国規模の催しといえば昭和59年の第39回国民体育大会「わかくさ国体」を思い出す。あれから30年以上たち新たな課題も浮上しているが、一方で同大会が県スポーツのレベル向上に果たした成果は、今も確かに受け継がれている。一過性のイベントに終わらせない。そのための努力、取り組みも行政だけでなく文化団体や県民全体で考えるべき課題になる。

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