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金曜時評


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大切な住民の意思 - 編集委員 増山 和樹

2017年8月18日 奈良新聞

 地域色豊かな図柄とご当地ナンバーを組み合わせた「地方版図柄入り新ナンバープレート」の導入準備が進んでいる。国土交通省が要綱を定め、県内では橿原市と高取町、明日香村が「飛鳥」、天理市と桜井市は「やまと」で申請を検討中だ。

 図柄入りのナンバープレートは自動車のナンバープレートが備える「走る広告塔」としての機能を生かす取り組みだ。国交省は平成17年と同25年にご当地ナンバーを受け付けたが、その後も自治体などから要望が強く、図柄入りプレートの導入に合わせて追加を決めた。交付条件の一つである対象地域内の登録自動車数は、これまでの10万台超から「おおむね5万台超」に緩和される。

 「地方版図柄入り新ナンバープレート」は希望者だけに交付されるのではない。導入が決まれば当該地域で新たに登録される全ての自動車が対象となる。自動車はデザイン性が高く、選択の余地なくナンバープレートに図柄が入ることを嫌がる人もいるだろう。「飛鳥」「やまと」などの地域名も同じで、住民や自動車ユーザーが違和感を持つようでは導入はおぼつかない。

 大切なのは住民の合意形成で、国交省の要綱もそれを前提としている。図柄のデザインについても、アンケートなどで住民の意向を把握するよう要綱に盛り込んだ。交付されたナンバープレートに住民が誇りを持てるよう、なぜ「飛鳥」「やまと」なのか、自治体は丁寧に説明する必要がある。

 橿原市と高取町、明日香村は平成25年にも「飛鳥」でご当地ナンバーに挑戦したが、参加自治体が広がらず、登録自動車数が10万台に達しなかった。基準が緩和された今回も、3市町村では5万台をクリアできない。天理、桜井両市の「やまと」も同じで、周辺のどの自治体にどのようにアプローチするかが鍵となる。

 5万台ありきではなく、「飛鳥」や「やまと」をキーワードに地域を結んでその数を超えているのが理想である。両者から参加を求められる自治体もありそうだが、数取り合戦は避けねばならない。

 市町村合併が現実味を帯びていたころ、明日香村を取り込んで合併した地域は「飛鳥市」になると言われた。「飛鳥」の知名度はそれほど高い。各市町村の思惑が入り乱れた協議は破綻したが、イメージづくりや観光面での期待も高かった。その名残りを見るようなご当地ナンバーだけに、今度は着地点を見いだしたい。

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