金曜時評
開幕近づく国文祭・障文祭 奈良からはじまる - 編集委員 松岡 智
第32回国民文化祭・なら2017(国文祭)、第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会(障文祭)の開幕まで40日ほどになった。9月1日から91日間、県内全39市町村での計約100のイベント内容が決定。公式ガイドブックも発行され、本番への雰囲気も高まっている。
都道府県持ち回りの祭典だが、今回は少々趣が異なる。両祭が初めて一体開催されるからだ。もともと両祭は国文祭が文化庁、障文祭が厚生労働省と所管が異なり、前々回までは開催地もほぼ別々。障文祭の実施期間はほとんどが数日程度だった。
両祭は開催趣旨も異なるが、今回は統一テーマを設定。従来の目的は残しつつ、障害の有無にかかわらず互いの芸術、文化活動を認め、楽しみながら新たな文化を発信する側面も持っている。会期中のさまざまなプログラムに手話通訳や点字訳を初導入するのも、その流れ。五感で味わう展覧会や障害者と健常者が共演する演劇、車いすダンスなどのイベントも組まれている。
もともと芸術の分野では、障害者の創作活動はエイブル・アートなどをはじめ早くから注目されていた。芸術文化の祭典を障害のある、なしに関係なく一緒に行う下地はあったのだ。昨年の愛知県での国文祭の閉会式では、県は次回開催県として障害のある人、ない人が共演するパフォーマンスを披露し、実証してもいる。
スポーツ分野でも近年、障害者スポーツの競技としての認知が定着。平成24年にパラリンピックを成功させた英ロンドンでは、だれもが一緒に障害者スポーツを楽しむ土壌が生まれているという。スポーツを通した共生社会構築への遺産は3年後の東京へもつながっている。
県は祭典後、だれもが芸術文化を楽しめる状況を、県内各地で主体的に継続、定着してもらうことも目標に据える。一過性に終わらせないことが未来へ続く遺産になるからだ。下支えの部分では、一体開催で不足が懸念される宿泊施設への対応で旅行業界大手が手を組む。こうした手法も今回の奈良が基点となる。
古代国家が花開いたように、奈良から文化芸術での新たな流れが始まる可能性を今祭典は秘める。内容に満足しない意見があるかもしれないが、何にせよ最初の一歩は大変なものだ。来年の開催地の大分県でも両祭の一体開催が決まっている。各取り組みが今後のモデル、遺産となるように、自信と誇りを持って祭典に参加したい。
都道府県持ち回りの祭典だが、今回は少々趣が異なる。両祭が初めて一体開催されるからだ。もともと両祭は国文祭が文化庁、障文祭が厚生労働省と所管が異なり、前々回までは開催地もほぼ別々。障文祭の実施期間はほとんどが数日程度だった。
両祭は開催趣旨も異なるが、今回は統一テーマを設定。従来の目的は残しつつ、障害の有無にかかわらず互いの芸術、文化活動を認め、楽しみながら新たな文化を発信する側面も持っている。会期中のさまざまなプログラムに手話通訳や点字訳を初導入するのも、その流れ。五感で味わう展覧会や障害者と健常者が共演する演劇、車いすダンスなどのイベントも組まれている。
もともと芸術の分野では、障害者の創作活動はエイブル・アートなどをはじめ早くから注目されていた。芸術文化の祭典を障害のある、なしに関係なく一緒に行う下地はあったのだ。昨年の愛知県での国文祭の閉会式では、県は次回開催県として障害のある人、ない人が共演するパフォーマンスを披露し、実証してもいる。
スポーツ分野でも近年、障害者スポーツの競技としての認知が定着。平成24年にパラリンピックを成功させた英ロンドンでは、だれもが一緒に障害者スポーツを楽しむ土壌が生まれているという。スポーツを通した共生社会構築への遺産は3年後の東京へもつながっている。
県は祭典後、だれもが芸術文化を楽しめる状況を、県内各地で主体的に継続、定着してもらうことも目標に据える。一過性に終わらせないことが未来へ続く遺産になるからだ。下支えの部分では、一体開催で不足が懸念される宿泊施設への対応で旅行業界大手が手を組む。こうした手法も今回の奈良が基点となる。
古代国家が花開いたように、奈良から文化芸術での新たな流れが始まる可能性を今祭典は秘める。内容に満足しない意見があるかもしれないが、何にせよ最初の一歩は大変なものだ。来年の開催地の大分県でも両祭の一体開催が決まっている。各取り組みが今後のモデル、遺産となるように、自信と誇りを持って祭典に参加したい。