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国原譜


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2017年7月3日 奈良新聞

 大規模な濠(ほり)に囲まれた弥生時代の集落跡、田原本町の唐古・鍵遺跡(国史跡)で記念すべき町教育委員会の調査が始まったのは昭和57年7月だった。「さあこれから」という翌8月、遺跡は水の底に沈むことになる。

 大和川の決壊や氾濫によるこの年の大水害は「ごーなな水害」として知られる。田原本町では床上浸水だけで432戸に及び、農地の多くが水にのまれた。

 大幅に遅れたこの年の調査の終盤、環濠(かんごう)を埋没させた土砂の堆積が確認される。2000年前の洪水層だった。

 田原本町教育委員会の藤田三郎次長は本紙の連載「唐古・鍵遺跡学事始め」でこのエピソードを紹介し、「長い歳月の中で繰り返される災厄を知らされることになった」と書いている。

 停滞した梅雨前線の影響で、この週末は大雨に見舞われた地域も多かった。台風シーズンはこれからだ。

 2000年前の洪水で、唐古ムラの人々はどんな災いに見舞われたのか。自然の脅威に身がすくむが、そこに現在の集落があることを思うとき、人の営みの力強さを感じずにはいられない。(増)

 

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