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国原譜


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2017年6月16日 奈良新聞

 聖武天皇が他界して1年後、757年の平城京で、大規模なクーデター計画が進んでいた。強権を振るう藤原仲麻呂を自邸に襲って殺害、樹立した新政権下で孝謙女帝を廃し、新しい天皇を迎える。

 首謀者の名を取って「橘奈良麻呂の変」と呼ばれるこのクーデターは、密告によって仲麻呂側に漏れていた。決起の当日、孝謙女帝は詔(みことのり)を発する。「決起した者は厳罰に処す」。

 孝謙女帝の母、光明皇后のとりなしで首謀者はいったん解き放たれたが、翌日には一人の自白で計画の全貌が明らかになる。拘束された容疑者は獄死や流罪など、悲惨な運命をたどった。

 有間皇子の変、蘇我石川麻呂の悲劇、長屋王の変。密告に端を発したとされる事件は飛鳥や平城の都でたびたび起きた。

 改正組織犯罪処罰法が15日朝に成立した。共謀罪で告発された一般人が捜査対象になるのかどうか。国会での政府答弁は混乱したが、告発の受理と捜査は表裏一体だ。

 権力が監視や密告を欲することは古代の事件を見るまでもない。その習性を国民の側から監視することもまた必要である。(増)

 

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