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「救急救命」充実へ - 編集委員 辻 恵介

2017年3月3日 奈良新聞

 「県ドクターヘリ」が、3月21日から運航を始めることが、2月16日に県から発表された。出動範囲は県内全域で、片道15分以内で全県をカバーするという。119番通報を受けた消防機関が、患者の重症度などを判断して出動要請する。

 県は従来の和歌山県と関西広域連合(大阪に基地)のドクターヘリに加え、昨年4月からは三重県ドクターヘリも合わせて共同運航。今回の運航開始により、奈良、和歌山、三重3県連携による救急搬送態勢が充実するのは、南部・東部山間地域などの住民にとって大きなプラスになる。

 運航開始は、昨年4月に南奈良総合医療センター(大淀町福神)が開院したことが大きい。最新の設備を備え、患者を受け入れる態勢が確立された。基地病院は県立医科大学付属病院(橿原市四条町)で、ヘリが常駐する基幹連携病院は南奈良総合医療センターとなる。運航時間は原則午前8時30分から日没まで。夜間や天候不良時を除き、365日運航を目指す。

 “空飛ぶ救命室”と呼ばれるドクターヘリは、2001年から国内での本格運航が始まった。患者が一刻を争う事態の時、現場と機内で処置をしながら病院に搬送するシステムは、15年8月までに全国38道府県に46機のヘリが配備され、日本列島がほぼカバーされるまでに成長してきている。

 より効率的な運用を図るため、隣接府県で協力する動きも目立つ。中国地方では「現場に最も近い拠点病院に出動要請する」という県境にこだわらない対応をとっているそうだ。「広域連携」の取り組みは、今後ますます重要になってくるに違いない。

 ただ、天候不良の場合や大規模災害時の運用など、課題もある。また、安定した継続的な運用維持のためには、時間と闘いながらハードな医療現場で活動する医療スタッフの待遇を、きちんとしてもらうことも大切ではないか。

 一方、地上の話だが、長崎県の大村市・諫早市では新たに「EMTAC(エムタック)」という救急救命のシステムが1日から始まった。救急出動の際、必要に応じて医療機器を持ち込み医師や看護師が救急車に同乗するという、全国初の取り組みという。悪天候などでヘリが飛べない場合なども想定し、救命率の向上を目指している。

 今後も大規模災害が想定されている日本列島。少子化、人口減少が続く中、救急救命態勢の充実は、ますますその重要度を増していく。

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