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国原譜


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2017年2月18日 奈良新聞

「享保の改革」で名高い徳川吉宗は、庶民の救済策として、江戸に小石川養生所を開いたことでも知られる。薬草に関心が強く、「採薬使」なる役人を各地に派遣した。

 そんな役人の一人、植村左平次政勝は危険を冒して大台ケ原まで分け入り、薬用ニンジン千根の大目標を達成した。

 腰までの水量を押して川を渡ること27回。銭谷武平氏の『大峯今昔』によれば、断崖に丸太で作られた道など難所が続き、政勝は「二度通る事、嫌かな、嫌かな」と日記に書き残している。

 もっとも、成功は地元の協力があってのことで、役人の接待から山道の改修、薬草取りの手伝いまで、村の負担は大変なものだったという。

 命を賭しても分け入るほど、吉野は薬草の豊富な土地だった。役行者に始まる山岳修験も、薬草とつながりが深い。

 県はそんな奈良と薬の縁を「薬草木の花咲く都 奈良」として日本遺産に申請した。藤原京跡では薬について書かれた木簡が出土し、正倉院には光明皇后が大仏に献納した薬が伝わっている。古代からつづられた奈良と薬の物語が、認定を受けてさらに輝けばよい。(増)

 

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