ふるさと納税のあり方が問い直されている。総務省によると都市部に住む人が出身地を支援する―などが狙いだったが、制度にゆがみが生じた。

　特に問題視されているのが豪華な返礼品。一部自治体に対して寄付額とのバランスを欠くと批判も出るが、それでも競争は過熱の度を加えている。

　ただ税収の偏在を是正するのに地域の積極的な取り組みを求めるのは昨今の時流に沿ったやり方。制度の不備は正す必要があるが、行政にも民間並みの努力と工夫が問われているのも事実だ。

　返礼品は地域の産業や観光振興にもつながる。特産品が少ない自治体の救済策など公正を担保しつつ、制度の人気を損なわない名案を期待したい。

　情報発信なら、都市部で展開するアンテナショップも注目。県は東京都に県産品の販売と観光案内を行う奈良まほろば館を設置、昨年1月には県食材を提供するレストランもオープンさせた。

　奈良まほろば館は来館者200万人を達成。立地する東京メトロ三越前駅では、隣接する新潟県や島根県のアンテナショップとも競いつつ、県の魅力を発信し続けている。(松)