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金曜時評


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地元を無視するな - 主筆 甘利 治夫

2016年12月2日 奈良新聞

 奈良市議会の12月定例会が始まり、同市横井町の山林に計画している新斎苑(火葬場)建設問題は、いよいよ大詰めを迎えた感がある。5日から始まる代表・一般質問の論戦を注目したい。

 規模や事業費が縮小された形でようやく基本計画が示された。これまでの経過を踏まえて作成したというが、論議を深めてほしいと思う。

 もっとも懸念されるのは地元同意だ。長年、お世話になっている白毫寺町の住民の気持ちを最大限に尊重してもらいたい。

 横井町の予定地は、当初は「ダメだ」として他の候補地を求めたものの、結局、「ダメな元の計画地」に戻るという、二転三転してきた。いまだに地元周辺住民の多くが納得していないのが実情だ。この地元同意を得るために、市はどのように汗を流してきたか。形ばかりの説明会を開き、とても同意を求めてきたといえない。

 先月14日夜の説明会は、現在の火葬場がある白毫寺町などの住民を対象にした。しかし同町内では開けず、近くの紀寺町にある飛鳥公民館で開催。さらに仲川元庸市長、向井政彦副市長や担当課職員ら総勢12人が出席したが、地元の参加者はたった9人で説明側の方が多いという会合だった。それどころか会場周辺には、開催中止を訴える住民が19人もいたというから、何が何でも説明会を強行したとしか思えない。

 これまで議会でも何度も指摘されてきたが、この説明会は「地元の理解」を得るために「開いた」という口実づくりでしかない。こんな形ばかりの説明会の開催で「地元の理解」を得たとはいえまい。

 また27日には市役所内で、市側の要請で市自治連合会(梅林聰介会長)主催という名目の「市民集会」も開かれた。市民誰もが関係する大事な新斎苑問題の「市民集会」なら、広報紙で広く参加を呼びかけ、大勢が出席できるよう、なら100年会館などのような会場で開催すべきだった。自治連合会を通じて、どこまで市民にお知らせできたか、個々の自治会長さんも大変だったろう。主催者の発表で約200人の出席で、反対派住民の姿はなく、市議の出席も一部だったという。

 一昨日の30日には反対住民の集会がもたれ、約180人が出席して気勢を上げた。

 これまで「計画推進には地元同意が不可欠」とされたが、「地元同意」とはけっしていえない形だけの説明会では納得するはずがない。こうした施設建設で、かつて某市の市長は、深夜遅くまで個々の家庭を訪ねて説得に回ったと聞いた。本気で汗を流してこそ、住民も納得する。地元同意を無視してはなるまい。

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