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国原譜

たかが穴、されど穴、である。橿原市の藤…

 たかが穴、されど穴、である。橿原市の藤原宮跡で、大宝元(701)年の元日の儀式で大極殿前を飾った旗ざおの穴が見つかった。穴から大宝元年が見えたのは、これまでの検出分と合わせて数が7個になったからだ。

 続日本紀はこの年の元日の様子を特に詳しく伝えている。旗は大極殿の正面に1本、左右に3本ずつ。見つかった穴はその通りに並んでいた。儀式には外国の使者も参列した。

 やけに詳しい理由は大宝律令の完成にある。続日本紀は儀式の様子を記した後、「文物の儀ここに備われり」と高らかにうたい上げた。

 奈良文化財研究所の渡辺晃宏さんは、藤原京と大宝律令について「歴史の舞台装置であるハードと社会を動かすソフト」(講談社「日本の歴史4」)と表現、両者がそろったことで律令国家の基礎が固まった。

 同じ年、聖武天皇と光明皇后が生まれている。平城京の主役となる二人が律令国家の“元日”に誕生したのだから、歴史は不思議だ。

 風になびく旗の向こうには、居並ぶ文武百官と大極殿、そのかなたには、仏教国家となった平城京が見えてくる。(増)

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