特集奈良の鹿ニュース

国原譜

平安時代の僧、聖宝(しょうぼう)は、大…

 平安時代の僧、聖宝(しょうぼう)は、大峰修験「中興の祖」とされる。

 吉野にはこんな話が伝わっている。江州(滋賀県)から山上ケ岳に登拝した男が、山中に祭られた聖宝像の目が金であることを聞かされた。

 男は人けのなくなる秋を待って山に入り、この像から金を抜き取り下山にかかった。ところが、金を入れた風呂敷は下りるほどに重さを増し、腹に食い込んでくる。歩くことも困難になった男は金を投げ出し、はうようにして帰ってきたという。

 洞川から山上ケ岳への参詣道に「お助け水」と呼ばれる水場がある。ここに祭られていた役行者(えんのぎょうじゃ)像が、4月から行方不明になっている。

 登拝団体を案内する地元の嶺霧露会は「すぐに返してください」などと書いた板を出し、返還と情報提供を求めているが、見つかっていない。

 なくなったのは石像といい、ほこらに祭られていた。持ち出した人はご利益を求めていたのか、金銭が欲しかったのか。いずれにしても、良心の重さに押しつぶされそうだったに違いない。己を取り戻すには、一日も早く返すことだ。(増)

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド