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金曜時評

厳しい民進党再建 - 主筆 甘利 治夫

 リオデジャネイロ五輪の熱気や、記録的な暑さ、台風災害で明け暮れた8月が終わり、秋の気配を感じさせる9月がスタートした。五輪があまりにも感動的だったために、政治決戦ともいわれた7月の参院選も、遠い日のものになってしまった。

 与党の自民党と公明党が圧勝し、共産党との共闘で一部で健闘したものの民進党は大きく後退した。そんな中で、きょう2日に代表選が告示される。参院選の総括が十分とはいえず、岡田克也代表は引責を認めないまま立候補を見送る。今のところ参院議員の蓮舫・代表代行と前原誠司・元代表の一騎打ちの様相だ。民主党時代に一度は政権を担っただけに、政権交代可能な野党として誰が党首になるのか、注目される。

 県内でも、選挙区選挙で、3選を目指した現職の前川清成氏が自民党新人の佐藤啓氏に大差で敗れた。これにより前川氏は党県連代表を辞任し、馬淵澄夫衆院議員にバトンタッチした。同党がどこまで再建できるか、馬淵氏の手腕にかかっている。

 全国の傾向そのままの結果ではあったが、存在感を示したのが「おおさか維新の会」公認で戦った吉野忠男氏だ。約12万票獲得したし、比例代表でも県内得票は12万1千票で、民進党の11万8千票を抜き、自民党の21万5千票に次ぐ得票だった。

 現状に不満を持つ散在的な県民は、与党に代わる対立軸として「民進党に任せられない」とする層となって、「維新」支持になっている。そのことは勝った自民党がおごるなら、再び支持を失うということでもある。前川氏と吉野氏の得票を合わせれば佐藤氏を上回るし、比例票でも自公票に対して、民共プラス維新、そして社民党などの野党系で上回る。県民は政権与党を完全に支持しているとはいえない。

 それだけに、党名を変えた「日本維新の会」が何を目指すのか、そして民進党との違いを明確にすることで、奈良県の政界地図は激変しそうだ。

 それは、参院選の県選挙区の得票を、衆院の選挙区ごとに見れば、常勝の馬淵氏の1区で、佐藤氏が前川氏の得票を上回った。3選を目指して知名度で勝る前川氏が、全くの新人の佐藤氏に大差をつけられた。それだけに1区は浪人中の自民・小林茂樹氏も弾みをつけたろう。比例の得票でも自公票と民共の得票、維新とで別れている。

 新県連代表の馬淵氏は、党中央での活躍が目立つが、それは地元との接触が少ないということでもある。自身の選挙区を含め、どのように組織改革を進めていくのか、その手腕が問われる。大阪に隣接するだけに、「民進より維新」という確かなうねりは、ひたひたと押し寄せている。次期総選挙は遠い先ではない。

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