東京都に初めての女性知事が誕生した。得票数は約291万票。地方の小さな県とは桁が違う大きな数字。それだけ首都のトップは責任も重い。

　一方で参院選の枠組みを引き継いだ野党共闘候補は3位に沈み、自公推薦候補も保守分裂で支持をまとめ切れず敗退。政党の役割が問い直される。

　また新知事には、都民の要望だけでなく4年後の東京五輪準備や東京一極集中の是正など、全国から寄せられる期待にも応えてもらわねば。そのためには都議会との関係づくりも欠かせない。

　政党推薦に基づけば議会の大勢が知事野党になるのだろうが、積極的に対話の場を設けて個々の政策を協議、調整を図れば合意も見えてくるはず。

　規模も事情も異なるが、首長が議会との関係改善に努力せず、行政推進で問題を抱える奈良市の場合を思う。こちらは市長、市議会とも残任期1年となる中でなお関係悪化が懸念されている。

　奈良市も県内では中核を担う市。トップの責任はもちろん、政党が負う役割の大きさも東京都に劣るものではない。来夏へ動き始めた県都の市長・市議選にも注目が集まる。(松)