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最先端技法の銀の象嵌冶具 - 被葬者を象徴する品/宮崎の地下式横穴

2016年7月13日 奈良新聞

象嵌が見つかった島内139号地下式横穴墓出土の鍛冶具の鑿状工具(上)と鉄鉗=12日、奈良市南肘塚町の元興寺文化財研究所

X線CT画像解析で浮かび上がった鍛冶具文様(一部デジタル加工)=鹿児島大学総合研究博物館提供

 元興寺文化財研究所(奈良市南肘塚町)と宮崎県えびの市、鹿児島大学総合研究博物館(鹿児島市)は12日、えびの市の島内139号地下式横穴墓(6世紀前半)から出土した鍛冶(かじ)具2点に、銀の象嵌(ぞうがん)が施されていたと発表した。鍛冶具での象嵌例は全国で初めて。象嵌は朝鮮半島から伝わった当時最先端の工芸技法で、同研究所などは「南九州地域特有の地下式横穴墓の被葬者像を考える上で貴重な資料」としている。

 象嵌が見つかった鍛冶具は鉄材を挟む道具の鉄鉗(かなはし=全長約15センチ、最大幅1・7センチ)と鑿(のみ)状工具(全長約20センチ、幅9ミリ、厚さ5ミリ)。平成26~27年の同市教委の発掘調査で見つかり、先月、同研究所が保存修理のために行ったエックス線撮影などで片面にだけ象嵌が確認された。

 いずれも日本では2本の線で表す波状文様を施し、鉄鉗の接合部には太陽をかたどったとみられる「日輪文」があった。高級織物の綾織りや経錦(たてにしき)が付着していたことから、実用品ではなく被葬者を象徴する品だった。

 周辺の古墳時代集落遺跡では鍛冶関連遺物が多く、象嵌鍛冶具と一緒に見つかった小刀類も地域産と推定。

 また、同墓は島内地下式横穴墓群の中でも最大級の玄室を持ち、男女とみられる2体の人骨のほか、ヤマト王権からの下賜品とされる甲冑(かっちゅう)や、朝鮮半島製の大刀など大量の副葬品が未盗掘の状態で出土している。

 鹿児島大学総合博物館の橋本達也准教授(考古学)は「ヤマト王権の軍事や鉄器生産業の統括、朝鮮半島との対外交渉など、多面的な活動に関わった地域の首長層の墓ではないか」としている。

■島内地下式横穴墓群

 5世紀初めから7世紀前半の、墳丘を造らずに地下の玄室に遺体を葬る九州南部特有の地下式横穴式墓約160基で構成。これまでに計約1500点の副葬品が見つかり、うち状態が良好な1029点が国重要文化財になっている。

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