県が全国、そして世界に誇る魅力は歴史や伝統、文化財だけではない。そんな地域の“新しい顔”を担う一つが学研都市にある奈良先端科技大。

　平成3年10月に大学が設置され、順次学生の受け入れを開始。バイオサイエンスや情報科学の分野で校名の通り、最先端の研究成果を上げてきた。

　ただ専門性が高く、学部を持たない大学院大学というスタイルから、県民にはやや親しみにくい印象があるのは残念だ。また生駒市の北端に立地するため大学の施設を目にする機会も少ない。

　そんな先端科技大で、遺伝子を組み換えた実験用植物が実験室外に出てしまう事故が発生。副学長らが会見で陳謝、地元住民にも説明するという。

　施設の外に出た植物は拡散しにくい種類で、危険な遺伝子組み換え実験も行っていないというから、大騒ぎは慎むべきか。ただ原因の究明と再発防止の手立ては必ず確実に進めてもらわねば。

　いずれにしても普段は目立たないのに事故で県民の関心を集めたというのでは問題。今後は意欲的な研究成果や取り組みで、改めて県民の誇りとしての名を高めてほしい。(松)