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金曜時評


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実害出てでは遅い - 論説委員 北岡 和之

2016年4月22日 奈良新聞

 県内で後を絶たない、土砂の掘削や搬入、盛り土などに関する違反行為に対して、県がようやく腰を挙げた。罰則適用範囲の拡大など、強化された新しい県砂防指定地等管理条例(県砂防条例、7月1日施行)の効果を大いに期待する。

 奈良市月ケ瀬長引の山林で、三重県伊賀市の土砂採取業者が、県から許可を受けた量の約4倍もの土砂を掘削。再三の指導を無視した業者の対応に業を煮やした県が先日告発した。これが報道されて注目を集めたが、県内ではこれまでに、実害が出て県が行政代執行に及んだ例もある。

 県が13日に明らかにした、県砂防条例違反として確認している5カ所(月ケ瀬の事案含む)のうち、奈良市中ノ川町内での無許可による土砂搬入がそれである。発覚は平成21年10月というから、5件の中で最も長い違反歴ということになる。

 本紙の報道などによると、平成22年7月14日、無許可搬入の土砂が雨で流出。国道369号を幅約50メートルにわたって土砂が覆い、このため県が復旧工事を行った。

 県は、土砂を搬入した大阪府内の採石業者に対し、再発防止を求める緊急の是正命令を出したが、期限の8月15日までに対応がなく、同16日に再発防止工事の行政代執行に着手した。県が残土による造成工事を許可した区域(約3900平方メートル)を越えた土砂が、無許可で砂防指定地内に運び込まれていた。代執行以後も業者は是正しなかったというから驚く。

 6年前の出来事を思い出させてくれたのは、今月13日の荒井正吾知事の定例記者会見である。話題となっている月ケ瀬での問題について記者から質問があり、知事が他にも違反事案があることを明らかにして所見を述べ、条例についても触れた。

 会見で荒井知事は「今までどうだったかは私にも責任」「県(の対応)が甘かったかどうか自問自答」などと知事としての責任にも言及した。その上で「(月ケ瀬の例では)あそこまで掘り進められたのか、というのが一番のポイント。あいまいさが残っていれば明白にして、ここまでしたらすぐ罰則がかかるとはっきり指摘するような行政姿勢にしたい」と強調した。

 月ケ瀬では、掘削で切り立った崖の上にある茶畑が崩れたら大変だ。まして人災にまで至ったらどうするのか。中ノ川にしても、また雨で土砂流出することがないのかどうか。対応は早い方がいい。条例の効果的運用に向けた準備作業に早く着手を。

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