実際に字を紙に書かないでパソコンばかり使っているため、忘れてしまった漢字が多くなった。とぼやいていたら、ある教育産業関係者が「忘れたのはまだいい。最近は漢字を覚えない子どもが増えた」。

　先生の授業をノートにとらない、とれない子どもが目立つのだそうだ。極端な例かもしれないが、日本人の漢字力、国語力の将来に不安を感じる。

　そういえば、大人でも何かを書いてメモするより、カメラ付き携帯電話で撮影したり、ボイスレコーダーで録音する人が圧倒的に多くなった。

　前述のパソコンを含め文明の利器は確かに便利ではある。しかし、漢字の習得のように愚直な努力をしなければ身につかないものもあるのではないか。

　「字は書いた人の性格を表す」という。達筆(読みやすいとは限らない)あり、筆者のような悪筆あり、字には人それぞれの特徴があるからこそ筆跡鑑定もできるのでは。

　みんながみんな字が同じなのは、顔が同じであるのと同様に気色悪い。デジタル全盛時代だけれど、字を書く、漢字を覚えるのように残さなければならない文化はある。(栄)