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国原譜

驚くほどの陽気もいったん去り、週末にか…

 驚くほどの陽気もいったん去り、週末にかけて氷点下の日もあるようだ。「お水取りが終わるまではねえ」。街角ではそんな会話も聞かれることだろう。

 東大寺二月堂の「お水取り」は、「下七日(げしちにち)」と呼ばれる後半の行に入った。籠たいまつに達陀(だったん)と、炎は激しさを増しながら最終盤へ入っていく。

 2月半ばの行入りから約1カ月。「春というものは、このように厳しく烈しい行法を営むことによってしか、呼び寄せることのできないものであるかも知れない」(小学館「東大寺お水取り」)と書いたのは作家の故井上靖さんだった。

 行にこもる練行衆は、命あるものの幸せや風雨順時(ふううじゅんじ)を祈り続ける。満行を迎えるころ、季節は春本番へと移ってゆく。

 参拝者を魅了する大たいまつは練行衆を先導する道明かりだが、最終日の14日は矢継ぎ早に上がって二月堂に並ぶ。通称「尻焦がし」。

 合図で一斉に回されると、二月堂を覆い隠すほどの火の粉が降り注ぐ。見守る参拝者のどよめきは、春到来を待ちわびた歓喜の声に聞こえてくる。(増)

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