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国原譜

先夜、福井県小浜市で「お水送り」が営ま…

 先夜、福井県小浜市で「お水送り」が営まれた。古く奈良時代から連綿と続く東大寺二月堂修二会に、遥か遠く若狭から香水を送る伝統行事だ。

 法要に全国から神々が駆けつけたのに、一人遅れた神さまがいた…そんな「お水取り」にまつわる故事を昔、両親から語り聞かされた記憶がある。

 それぞれの地域に残る土地っ子が受け継いできた伝承。奈良町なら他にも猿沢池に身を投げた采女(うねめ)の悲恋物語、そして春日の神鹿を誤って殺した少年が責めを負う石子詰め伝説など。

 いわゆる昔話や縁起は、生活や信仰の中で育まれてきた地域文化そのもの。郷土史を知る貴重な教材であり、また魅力ある観光資源にもなり得る。

 そして今、新たに歴史を紡ぎ直して物語を織り上げる試みも始まった。文化庁が昨年に創設した日本遺産。文物自体ではなく、地域の魅力や特色を通じて文化伝統を語るストーリーが対象だ。

 初年度は県内から1件の認定にとどまったが、次を目指す動きも活発。有形無形の文化財活用に新たな道を開けるか。奈良大立山まつりなどイベントとの連携も注目したい。(松)

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