このページでは、Javascriptを使用しています

金曜時評


現在位置:トップページ> 金曜時評> 記事


登録の原点は何か - 編集委員 増山 和樹

2016年2月12日 奈良新聞

 ゴール目前とみられていた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界文化遺産登録が、大きく後退することになった。政府はこのほど、ユネスコへの推薦をいったん取り下げ、構成資産などを見直すことを決めた。

 ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が、予想以上に厳しい評価を下したのが原因という。イコモスは推薦のあった世界遺産候補について「登録」から「不登録」まで4段階で勧告し、石見銀山や平泉の「登録延期」は記憶に新しい。今回は新たに導入された中間報告の結果だが、関係者の動揺は大きいようだ。

 県内でも「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」が政府の推薦待ちで、構成資産の協議が続いている。世界遺産のハードルは高まる一方といわれ、“先輩遺産”同様の試練が続くと腹をくくる必要があるだろう。推薦の前提となる暫定リスト入りは今回の「長崎」と同じ平成19年だった。

 奈良県は全国の都道府県で最も多い三つの世界文化遺産を有している。平成5年に登録された「法隆寺地域の仏教建造物」は、姫路城と並んで国内の登録第1号となった。それから20年あまり。新たな世界遺産誕生への期待も大きいが、登録の意義をあらためて見つめる時期も来ているのではないか。

 世界遺産条約は、その目的を「人類全体のための世界の遺産としての保護」とそれに向けた「国際的な協力及び援助体制の確立」にあるとしている。国内では観光本位の感が強く、登録によって観光客が激増し、構成資産の傷みが進むという本末転倒の事態もみられる。

 国内最多の世界遺産を有する県として、登録によって何が守られ何が変わったのか、所有者だけでなく、地域住民や文化財の専門家も入れて検証し、全国に発信してはどうだろう。今後の登録の動きにも有意義に働く。

 ユネスコなどの後援を受けて県と文化庁が主催した平成6年の「世界文化遺産奈良コンファレンス」(奈良会議)では、文化の多様性を盛り込んだ「奈良文書」が採択され、「木の文化」の評価に大きな道を開いた。

 奈良県は国内の世界遺産を考える上で欠かせない場所である。登録の原点から今後の世界遺産の在り方を考える。先進地として、県が中心的な役割を果たすことを期待したい。

記事の詳細は本紙をご覧下さい ⇒ 【 奈良新聞を購読する 】


最新ニュース

経常収支比率2.5ポイント改善 - 全国順位同じ44位/県内市町村財政状況[2017.01.24]

古道結び観光振興 - ルート整備、PRへ/香芝、王寺、三郷、大阪府・柏原市写真付き記事[2017.01.24]

未来に法隆寺つなぐ - 古谷執事長が一日防災官/消防訓練写真付き記事[2017.01.24]

備えよサイバー攻撃 - 危機管理体制など学ぶ/県警が対応セミナー写真付き記事[2017.01.24]

授業、ゲームで交流 - 奈良北高を訪問/韓国の高校生写真付き記事[2017.01.24]

V字回復の手法解説 - 松井名誉顧問が講演/ちゅうしん経営セミナー写真付き記事[2017.01.24]

県、一体整備へ優先案 - 近鉄「誠意もって検討」/平城宮跡の近鉄線写真付き記事[2017.01.23]

白紙撤回訴えチラシ - 計画の問題点指摘/奈良市新斎苑[2017.01.23]

川上での移住活動語る - 暮らし体験宿、林業PR・・・/地域おこし隊 本年度報告会写真付き記事[2017.01.23]

「型」で捉えた前方後円墳 - 元橿考指導研究員 故上田宏範さんの遺稿出版写真付き記事[2017.01.23]



PR



おすすめサイト

会社概要採用情報新聞購読出版情報個人情報保護特定商取引法に基づく表示サイトマップ