特集奈良ラーメン探検隊活動中!

金曜時評

障害者雇用促進も - 編集委員 辻 恵介

 第3次安倍改造内閣の基本方針は、1億総活躍社会の実現に向けた、強い経済、子育て支援、社会保障の「新三本の矢を放つ」ことだという。

 だが、「1億総活躍社会」と言われると、かつてのスローガンに「一億一心」「一億玉砕」「一億火の玉」などといった言葉があふれた時代を知る世代には、いささか抵抗があるかもしれない。

 秋の高い空に突如上がったアドバルーンのようで、具体的にどんな工程で実現させていくのか未知数で現実味がない。

 例えば「障害者雇用」の問題。平成28年4月から「障害者雇用促進法」が改正されるが、企業の受け入れ態勢などはどうなっているのか。企業に求められる障害者の法定雇用率は現在は2・0%だが、30年からは引き上げられる可能性が大きいという。そうした身近なところに目を向けていかないと、「1億総活躍社会」など掛け声だけで終わってしまう。

 そんな中、県内では新しい動きがあった。障害者支援のNPO法人ポエムの「雪丸カフェポエム」が、17日から王寺町の、りーべる王寺東館5階、町地域交流センター内で営業を始めたのだ。

 健常者2人、障害者ら2〜4人が接客。飲み物やケーキなどを低価格で提供している。JR王寺駅に直結するビルの中にあり、大型商業施設の買い物客や駅の利用客も気軽に立ち寄れる。河合町といった近隣の福祉作業所などで作った商品も販売されていて、活動の広がりが期待できそうだ。問い合わせは電話080(9127)6955。

 同じ北葛城郡内では、上牧町の「Cafeぷらっと」も注目される。こちらは平成17年9月に、社会福祉法人上牧町社会福祉協議会が開設したもの。

 現在は、同25年10月から同町保健福祉センター(2000年会館)で営業。7人のスタッフが毎日数人ずつ交代で働いている。17日に大和郡山で開かれた「第7回スウィーツ甲子園奈良大会」に出品したパウンドケーキは、見事グランプリを受賞した。連絡先は0745(76)6098、内線133。

 頑張っている障害者を雇用したくても、中小企業にとっては、大手と比べて受け入れ負担も大きい。それでも本県の障害者雇用率は2・22%(平成25年度)で、2年連続で全国3位という。関係者の地道な取り組みが実を結んでいるようだ。地域において、皆が総活躍できるような具体策を新大臣にも打ち出してほしい。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド