注目記事2024年春 奈良県職員人事異動 発表!

金曜時評

急がれる情報公開 - 主筆 甘利 治夫

 公的機関の情報公開が当たり前の時代に、制度がなく会計処理の不透明さが指摘されている県市町村総合事務組合(管理者、更谷慈禧・十津川村長)=橿原市大久保町、県市町村会館内=の体質が問題視されている。

 組合の構成メンバーは4年ごとに選挙がある市町村長と、毎年のように改選される町村会議長のため、メンバーの組織への関与が希薄になっている。さらに組合の実務を担当するトップの事務局長が、設立当初から県庁OBの指定席であるため、これが体質の改善を阻んでいる。

 同組合は昭和30年代後半に設立された。総合事務組合と市長会(会長、竹内幹郎・宇陀市長、12市)、町村会(会長、更谷慈禧・十津川村長、27町村)、町村議長会(会長、中西一夫・斑鳩町議会議長、27町村)、そしてサマージャンボなどで知られる宝くじの基金を扱う市町村振興協会の5団体で構成。事務局長は5団体のそれぞれを兼務した局長職だ。市議会議長会は構成メンバーに入っておらず、同会は各市が持ち回りで会長職を担当し、事務局は会長職の議会に置いている。

 発足当初は、事務局員らが若くて経験も乏しかったこともあり、「県に対して局長にふさわしい人を要請」した。これが50年以上も続き「局長ポストは県庁OB」と固定化した。当初の若手職員も経験を積み、ベテランになっても局長職は県庁OBのままで、生え抜きの職員から局長になった人はいない。

 組合は各市町村などの負担金で運営されていることから、その原資が税金であることを忘れてはなるまい。仕事は県民・市民などと直接接触することがなく、各自治体の首長や議長らとの接触のみであるため、特別な組織体となってしまい、公の意識が欠如してきたといえる。

 「管理者」を置いているが、常駐ではなく、首長などが持ち回りで担当しているため、名目的な「管理者」といえる。そこで実務担当の「事務局長」の権限が大きいことが分かる。その局長にしても、経験豊富なベテラン職員との関係をみると、組織の二重構造がうかがえる。ベテラン職員の会計処理を含む実務に負うところが大きく、管理者や事務局長以上の「権限」を持ちかねない。

 天下りが「退職後の給料稼ぎ」などとの批判にこたえるためにも、構成団体が組合組織にメスを入れてほしい。県民から見て不透明な会計処理との指摘に、一日も早く情報公開制度を策定すべきだ。

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