注目記事奈良県内の自治体異動名簿掲載

金曜時評

奈良市は変わるか - 主筆 甘利 治夫

 大きな節目なのだろう。

 奈良市の6月定例議会の役員改選で、議長に浅川仁氏(58)=奈良未来の会=、副議長に北良晃氏(71)=自民党=がそれぞれ選出された。長い間、保守系会派の対立の構図を見てきただけに、いわゆる「保保連合」が実現したことの意味は大きい。これまでの確執があるため、各会派個々の議員は、とまどいもあろうが、時間をかけて積み上げていけばよい。

 これまで浅川氏率いる前身の「政翔会」や「奈良未来の会」が、仲川元庸市長に極めて批判的だったことはよく知られている。それだけに浅川議長の誕生は、仲川市政にとって厳しいものになることが予想される。全会一致を原則とする副市長人事も、最終日の扱いを見ても分かる。職員の間にも緊張感が広がっている。

 2年前の市長選を思い出す。現職の仲川氏に対抗する保守が分裂、計7人もの立候補者があった。現職の優位もあり仲川氏が総得票の30%を獲得して当選している。現職に対抗する保守勢力が一本化できなかったため、仲川氏の再選となった。

 前々回は、「政権交代」直前の民主党旋風のなかで仲川氏が初当選を決めた。そして前回は保守乱立に助けられての再選でもある。このため仲川氏と議会との関係は、ギクシャクしたままで推移してきたといえよう。

 今回の役員改選は市長も議員も任期の折り返し点にある。保保連合という新しい枠組みができたことで、仲川市政も正念場を迎えた。とくに懸案となっている火葬場やごみ処理施設の移転問題は、残任期2年で、どこまで前進させられるのか。浅川新議長には、市政の混乱や市民生活に直結する行政の停滞を招かないよう議会運営をお願いしたい。その上で行政をしっかりチェックするのが議会の役割であることを忘れてはなるまい。

 戦後70年という大きな節目を迎えるなかで、国会は大幅な会期延長を行い、安全保障関連法案を巡って論議が続けられ、安倍首相の戦後70年談話についても国民の関心が高まっている。そして選挙制度の改革や選挙権が18歳以上になるなど、新しい時代の始まりを予感させる。

 こうした節目の時に、自民党の県議団はどうしているのかといいたい。市議会レベルとはいえ、県都の奈良市で保守系会派が、新しい動きを始めた。長年の確執があるなら、それをどうするかだ。同じ政党に属しながら、会派が3分裂していては、有権者に説明がつかない。政権与党としての責任を自覚してほしい。

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