注目記事奈良県内の自治体異動名簿掲載

金曜時評

本気度が問われる - 主筆 甘利治夫

 統一地方選挙を終え、この大型連休で関係者は少しは疲れを癒したことだろう。厳しい選挙だったが、これからが本番で、それぞれが選挙中に有権者に約束したことを実行に移す番だ。

 選挙結果を見れば、一定の成果を出したとはいえ、自民党県連(奥野信亮会長)はのんびりできない。また退潮に歯止めがかからぬ民主党県連(前川清成会長)も同じだ。維新の党の勢いもあり、来夏の参院選に向けた対応が急がれる。

 各政党が競った県議選を見ると、政権与党の自民党は過半数を目指しながら届かなかった。推薦、無所属当選者を含めても1人足りない22人だ。しかも、「県議団の一本化」どころか、会派は3分裂するという、改選前より後退した。

 会派の内訳は、「自由民主党」が11人、改選前の「自由民主党改革」グループが「自民党奈良」に名称変更して9人、新人2人が「自民党絆」を立ち上げ、3派となった。

 会長は国会議員の奥野氏が務めるが、幹事長職など他の四役を「自民党奈良」所属議員が独占している。県連の要職を県議が占めていることで、組織を実際に機能させているのは、県議団のメンバーといえる。「県連と県議会は違う」との言い分は通らない。だから奥野会長も、その実情を知るに及んで「統一選後に県議団の一本化を」と約束した。

 ところが3派に分裂した。口先だけだったのではないか。奥野会長は、自らが一本化に向けて汗を流したか。県議選後、生駒市長選や市議選など後半の選挙があったにせよ、3週間近くもあり、主要県議と話す時間があった。当事者である四役に任せきりではなかったか。第一会派の「自由民主党」との溝を埋めて一本化するには、今の四役では限界がある。その試金石となるのが、14日から始まる議会での議長選びとなる。

 2年連続して民主党議長を誕生させるような改選前とは状況は異なっている。大きく後退した民主党に代わり、5人会派となった「維新の党」の出方に注目が集まる。その維新の党は、昨年の衆院選に続いて勢いを見せた。来夏の参院選への対応を含めて、その動向を見ていきたい。

 一方、惨敗した民主党は、統一選をどう総括するのか。責任問題が出てくるのか。参院選は前川会長自身が、改選期を迎える。奈良で3連覇を果たした勢いは全くなく、守りの戦いとならざるを得ない。

 そして議席奪還を目指す自民党は、県議団の分裂のまま候補者選びを進めるのか。理屈ではなく、奥野会長の本気度が問われている。参戦含みの維新の党を意識しながら、暑い夏となりそうだ。

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