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金曜時評

継続、発展に期待 - 編集委員 松井 重宏

 12日投票の知事選挙で再選を果たした荒井正吾知事が、きのう16日に県職員の出迎えを受けて初登庁、3期目のスタートを切った。現職の続投だから初登庁といっても通常の年度始めと大差ない印象もあるが、心機一転、これまでの業績を踏まえ、掲げた公約を着実に実行、現県政の継続を選んだ有権者の信任に応えてほしい。

 当選後の記者会見で抱負を聞かれた荒井知事は、県と市町村の連携強化、県内経済の活性化に強い意欲を示したが、それらの政策は既に、同知事自らが編成した平成27年度当初予算に多くが盛り込まれている。選挙を控えて骨格的な予算にとどめた面はあるものの、実際には「荒井色」が、かなり明確に打ち出された予算と言って良いだろう。

 その中身を見ると、整備が進む京奈和自動車道の周辺などに企業誘致を進めるほか、プレミアム商品券を発行して消費を拡大、県内経済を刺激して働く場づくりにもつなげる。また県南部、東部の振興では、交流人口を増やし、地域への移住、定住に結び付けるよう、3月に策定した振興基本計画をもとに毎年度、アクションプランを立てて、事業を進めていく―など。

 これらは、いずれも県の自立に主眼を置いた取り組みで、国が進める「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と軌を一にしている。地方創生は、若い世代が安心して働き、家庭を築ける環境を整えることで地域の活力を高める政策。人口減少と東京一極集中の問題に対応し、地方の復権を目指している。

 そして荒井知事が掲げる県内の具体的な目標が「脱ベッドタウン」だ。同知事は内発的経済改革という言葉をよく使うが、要するに大阪など大都市に依存し続けるのではなく、自らの力で立って歩くための地域経済を育てるということに違いない。もちろん自立が孤立になってはいけない。だからこそ県は市町村との連携で先進的な「奈良モデル」を提起、推進しているし、関西広域連合への加入など近隣府県との協力も適宜、判断が必要になってくる。

 荒井知事は、今回の選挙の争点も「ベッドタウンとしての成長か、内発的経済改革か」にあったと指摘。人口の流入超過に支えられてきた県の地域づくりが転換点を過ぎ、いま新たな発展、生き残り策が求められる中、有権者が選択した「継続」に寄せる期待は大きい。

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