注目記事2024年春 奈良県職員人事異動 発表!

金曜時評

正確・公正こそ命 - 主筆 甘利 治夫

 「政治とカネ」の問題で、女性閣僚2人が辞任しただけでなく、小渕優子前経済産業相の政治資金をめぐって、東京地検特捜部が動くなど、安倍政権にとって打撃は大きい。さらには政治資金収支報告書の記載で、野党幹部らも弁解会見を開くなど、政治不信を増幅させている。

 中央でのドタバタ劇も、地方政界も同じことがいえるのではないか。地域の祭りやイベントでの政治家の対応がそうだし、会費制という後援会の旅行や観劇は、多くの議員がやっていることでもある。一つ一つ検証していくしかない。

 10月が終わろうとしているが、新聞業界にとっては節目の月にもなった。例年通り15日からの1週間、新聞週間があり、本紙でも特集紙面をお届けした。先々週、新潟市で新聞大会が開かれ、全国紙や地方紙、広告関係者など、全国の新聞人が集まった。新聞の今が問われた大会だったが、注目された従軍慰安婦や東京電力の福島原発事故を巡る誤報問題で、朝日新聞社長が「新聞業界全体の信頼を大きく損ねた」と謝罪した。まさに「読者の信頼回復」をテーマとする歴史的な大会ともなった。

 ネット社会の進展は、「誰もが情報発信できる」時代に突入したことを意味する。情報発信が、新聞をはじめとしたメディアだけのものではなくなった。それと同時平行した形で、若年層の新聞離れも深刻なものになっている。人との待ち合わせに携帯電話はなくてはならないし、道を歩いていても電車の中でも、そして食事中であっても、スマートホンを手放さない姿をよく見る。これは都会や地方といった地域的なものではなく、ここ数年の間に定着した現象だ。

 今年の読書週間中でもあるが、特に若者たちは本も読まなくなった。本当に若者は「活字離れ」しているのだろうか。インターネットをよく使いこなし、文字を追いかけることをしている。メールによる交流の多さ、そのスピードは驚くほどだ。決して「文字」や「活字」を拒否しているわけでもない。四六時中、スマホを手放さない姿が、当たり前となっていることに不安を覚える。

 生活の中心にネットありきの社会になってしまった。ネットの危うさは、発信された情報が正確であるかどうかだ。「インターネットで何でも分かる」というが、自分の好みのニュースや情報を検索し、それを次々に追いかけていく。それでニュースを知り、世の中を分かったつもりになってしまう。そういった「特定の興味」のみの知識だけの人間ばかりになる。若者たちの将来、そして未来の日本のことを思うと、どんな世界、時代になるのかと思う。

 新聞は世界のことから小さな街ダネまで満載している。そして政治や経済や、文化、スポーツ、芸能、医療や福祉など、新聞が報じる内容は多岐にわたっている。興味のあることだけでなく、全体を見渡す一覧性がある。その役割はいささかもゆるぎないと自負している。

 新聞大会で「正確で公正な報道に全力を尽くす」と決議した。今月26日は、昭和21年に創刊した本紙の創刊記念日でもあった。創刊号で「奈良県の進歩発展と社会正義のためには公正にして大胆な主張をしてゆくつもりであります」と約束した。大会決議そのままに、その創刊の精神をあらためて肝に銘じていきたい。

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