注目記事奈良県内の自治体異動名簿掲載

金曜時評

身近にいる不審者 - 主筆 甘利 治夫

 暦の上では立秋を過ぎたが、今年の夏はことのほか厳しい暑さが続く。台風11号の進路も気になるところだ。その台風も、通過する前に広範囲で局地的な豪雨があったりするから、極端な天候異変に、昔の人ではないが「何かがおかしくなっているのではないか」と思いたくもなる。

 その「おかしさ」は、相次ぐ衝撃的な事件の発生にある。

 とくに、年少者が関係する事件で、心を痛めている人も多かろう。

 岡山県倉敷市では、小学生を誘拐して監禁するという事件が起きた。無事に保護されたものの、自分好みの「お嫁さんにしたかった」という、犯人の異常さに震撼とさせられた。続いて長崎県佐世保市では、女子高校生による同級生殺人が起きた。加害者が未成年であるため、異常な犯罪にもかかわらず、詳細な情報は明らかでない。それでも、現代社会を象徴するかのように、インターネット上では、実名や顔写真などが飛び交っている。加害者の親のことなども、書きたい放題だ。

 確かに関心の高い事件ではある。同じ世代の高校生を抱える親なら、なおさら事件の真相を知りたいと思うし、事件をどう受け止めたらよいのか、迷うばかりだろう。夏休みであるため、それぞれの高校で、どのような話し合いがなされ、対応するのかが見えてこない。学校関係者も、苦慮しているところだろう。

 こうしたなかで、本紙の社会面で毎日掲載している県警本部提供の「防犯情報」を読むと、他人事ではないことが分かる。ご覧になっている人も多いかと思うが、連日のように県内のあちこちに、不審者が出没している。倉敷市や佐世保市のような凶悪な事件の芽があることが分かる。大きな事件になってからでは取り返しがつかない。

 こうした情報を共有化することが大事だ。わが身と子どもたちの安全に、警察だけでなく、地域ぐるみで取り組んでいきたい。小中学校では、メールで家庭に配信して注意を呼び掛けているところもあり、全県で徹底してもらいたい。

 警察にお願いしたいのは、小さな不審者情報であっても、速やかに関係機関に広報してもらいたい。メールによる情報発信とともに、パトロールを徹底して、事案発生地域に注意を呼び掛けることが必要だ。本紙掲載の「防犯情報」にみられる小さなことが、いつ大事件になるか分からない。

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