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金曜時評

旧弊を排し成果を - 編集委員 松井 重宏

 県議会の活動に精彩がない。8年ぶりに設置された議員定数等検討委員会が半年間にわたる協議の末、総定数、選挙区割りとも現状維持を決めただけで解散。また6月定例会では恒例の役員改選を行ったものの、正副議長とも再選という異例の結果に終わるなど、県議会が「機能不全」でも起こし始めているのかと思える状況が続いている。

 いずれも結果だけを見て「何も変わらない」と批判するのは不適当だろうが、任期満了を来年4月に控えて各党派、議員の周辺では再選、出馬をにらんだ水面下の動きが活発化しており、そうした中で議会改革の取り組みや政策推進がおざなりにされることを危惧する。

 県議会の沈滞を招く要因の一つとなっているのが、最大勢力である自民党の会派分裂問題。勢力争いによる対立と均衡が、本来の政策論議を軸にした議会全体の運営をゆがめている。

 自民党県連の奥野信亮会長は、県議会で2年連続して同党が議長ポストを得られなかったことを踏まえ、統一地方選までに会派一本化を果たすと強い意欲を表明したが、単に選挙目当ての合流に終われば当選後に再分裂しかねない。旧態依然とした政治力学を排し、政策集団として機能する会派づくりを目指せるのか。それは県議会全体の課題でもある。

 もう一つは議会内に漂う守旧的なマンネリ化。現職の県議42人(定数44、欠員2)の中には1期目が9人いる一方、9期目3人などベテラン議員も多く、当選回数の平均は4回を超える。その結果が議会の能力向上ではなく、議員同士や執行部とのなれ合いにつながっているなら看過できない。

 いわゆる号泣県議問題を機に政務活動費に注目が集まる中、政党や議員が果たす役割、仕事ぶりが厳しく問われている。地方自治法が定める議会の権限は条例の制定、予算の議決から自治体の事務に関する調査まで多岐に及ぶが、全ての議員が十分な活動を行えているわけではない。今月から本格化する初度の委員会や勉強会を通じて、各議員は清新な視点で意欲的な政務活動に努めてほしい。

 また首長と違い、複数で構成する議会の場合は必ずしも多選が批判の対象にはならないが、1人区選出の議員に多選傾向が強い点は見逃せない。議員定数等検討委員会では手つかずだったが、県議会は1人区解消の問題と、もっと真剣に向き合う必要がある。

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