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金曜時評

議員の本分尽くせ - 編集委員 増山 和樹

 兵庫県の県議が現実離れした出張費用を申請していた問題で、「第二の報酬」ともいわれる政務活動費が注目を集めている。日帰り出張は平成25年度だけで195回、交通費として約300万円が政務活動費から支出された。税金である。

 記者会見では「やっと議員になったんです」「世の中を、変えたくて」などと号泣したが、もちろん泣いて許される問題でも、金を返して済む話でもない。県議会が辞職を勧告したのは当然で、説明責任を果たせないなら、税金をだまし取ったも同然だろう。

 政務活動費から切手代に175万円を支出していたことも明らかになった。自分の財布ならそんな使い方をするとは思えない。

 政務活動費をめぐっては、返還を求める住民訴訟が各地で起こされてきた。対象となる経費の範囲が解釈次第で広がることが大きい。現在の名称になったのは平成24年の地方自治法改正で、それまでは「政務調査費」だった。

 橿原市では、平成22年度の政務調査費に違法な支出があったとして、市民オンブズマンが提訴、大阪高裁は市議13人に計約73万円を返還させるよう、市長に命じた。判決が違法な支出としたのはコピー機のリース代やインターネットのプロバイダー費用の一部などだ。平成23年度分を対象にした訴訟では、市議12人の自主返納も明らかになった。

 政務活動費は自治体の条例に規定があり、奈良市議会では「市政に関する調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として」交付が定められている。

 金額も自治体によって異なり、奈良市は月額7万円、橿原市は年額50万円が申請に応じて交付される。議員には議員報酬が別に支給されており、政務活動費が「第二の報酬」と呼ばれるゆえんだ。

 先進地の視察など、見識を深める活動が議員にとって大切なのは分かる。調査研究や陳情など、議員活動にはそれなりの支出も必要だろう。

 ただ、政務活動費が議員報酬外に認められた経費である以上、各議員が厳格な申請を常に心掛けねばならない。一人一人の自覚がグレーゾーンの解消につながる。兵庫県議会は議長の調査権限を強化する方針だが、住民参加のチェック機関を設けることも考えられる。

 政務活動費を使った研究の成果を住民のための政治に反映させることこそ、議員の本分である。

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