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金曜時評

政と医の信を問う - 編集委員 松井重宏

 徳洲会グループによる公選法違反事件を受けて、生駒市では、平成27年の開業を目指して建設が進む市立病院の指定管理者から医療法人徳洲会を外すよう求める声が高まっている。ただ山下真市長は病院建設の当初から同会を支持、擁護する立場を変えておらず、来年1月26日投票に迫った市長選挙へ、同問題が争点の一つに急浮上してきた。

 事件の捜査では、東京地検特捜部が選挙にまつわる資金の流れを分析、全容解明に取り組んでおり、今月4日には鹿児島県警が徳田毅衆院議員の母親らを逮捕。今後は連座制による失職の可能性を含め、徳田氏自身の去就にも注目が集まる。さらに5日には、票の取りまとめで徳田氏の選挙区で複数の地方議員が買収資金を受け取った可能性が発覚。事件はさらに広がる様相を見せている。

 こうした中、きょう6日に開会する生駒市議会の12月定例会では、中浦新悟議員が、同病院の指定管理者を見直し、改めて再公募するよう求める決議案を議員提案する。同議員は徳洲会について「組織ぐるみの違法行為で指定管理者としての適性を欠く」とし、市との協定に基づく指定取り消し理由に該当すると指摘、各議員に賛同を呼び掛けている。

 ただ山下真市長は「徳洲会グループの経営状況は良好」などと話し、指定管理者から外さない姿勢。事件の解明が進めば同会の運営にも影響が出てくるのは避けられないし、医学生らの間では、同会の病院に勤めたがらない傾向が既に強いと言われ、このままでは市立病院の人材確保もおぼつかない。にも関わらず山下市長は、懸念を深める市民感覚を無視するかのように「(今回の捜査で)選挙や政治力をつけるために衆院選に候補を擁立したり、それに職員を動員するようなことはなくなるだろう」と話し、むしろ徳洲会の体質改善が進むと強弁してはばからない。

 山下市長は徳洲会グループからの資金提供について「全くない」と完全否定したが、資金力と政治力を両輪として発展してきた同グループは、これまで多くの政治家を支援。東京都の猪瀬直樹知事が5000万円を受け取っていた問題も、その一角とみられる。同知事は「借りた金で、返した」と強引に正当性を主張するが、逆に疑惑は深まるばかりだ。当の徳田衆院議員も当初は「検察と戦う」と強気の姿勢を見せていたものの、政治家が見え透いた強弁を口にするときは既に進退は極まりつつある。

 徳洲会が、市立病院の指定管理者に決まったのは平成20年1月。山下市長は当時「徳洲会は積極的な救急医療の実践を運営方針として掲げており、本市の求めるものと合致している」と歓迎、病院建設の促進に意欲を見せた。ただ、その後は随意契約をめぐる疑惑や地元医師会の反発、また同会の臓器売買事件で暴力団関係者との関係が問われるなど、問題が相次いで発生。紆余(うよ)曲折がさらに続くことを市民は望んでいない。

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