募集「悩み」や質問募集 僧侶3人がお答えします

金曜時評

許すな離合集散劇 - 編集委員 松井 重宏

 7月21日の投票から間もなく1カ月。奈良市議会は、定数39に対して49候補が立つ激戦の末、再選を果たした現職組の26人に新人12人、元職1人を加えた顔触れで、週明けの19日から臨時会を開催、新しい任期が本格的に動き出す。ただ水面下では、既に正副議長など議会内のポスト取りを視野に各勢力の活発な駆け引きが始まっており、多数派工作の過熱に懸念も浮上している。

 注目を集めた会派の再編は、15日までに5会派が議会事務局に届け出を行い、当面の勢力図が固まった。新たな会派構成は、政党の名称を掲げる自民党(植村佳史幹事長、8人)▽公明党(山中益敏幹事長、7人)▽共産党(北村拓哉幹事長、7人)―の3会派と、政党名を外した奈良未来の会(浅川仁幹事長、8人)▽改革新政会(山口誠幹事長、5人)―の2会派、それに無所属の4人。

 このうち奈良未来の会は、日本維新の会と連動して結成された地方政党、奈良維新の会が基盤だが、無所属新人2人の合流をきっかけに名称変更した。また改革新政会は勢力退潮を余儀なくされた民主党が無所属の現職1人を加え新たに発足。両会派はともに「政党と会派問題は別」と説明するが、名称を変えれば政党との関係、政策が有権者には分かりにくくなる。まして所属議員を増やして会派としての力を強めるため、名称だけでなく政党の枠組みも外れたというなら、公約違反のそしりを免れない。

 一方、これまで複数の保守系会派に分かれていた自民党勢力は今回、国政での政権復帰を追い風に選挙で公認、推薦を受けた8人全員が当選を果たし、初めて同党名を掲げる会派を結成した。ただ以前の政翔会、政友会から引きずる対立など、内部に分裂の火種も抱えており、最大会派の一つとして指導力を発揮できるかどうかが課題。

 全体では、公認した7人が全員当選した公明党、共産党を含め8人会派と7人会派がともに二つずつ誕生、上位4会派の勢力が拮抗することになった。そして5人会派と無所属4人が、この間に加わる“微妙なバランス”がとれた構図。それだけに正副議長選など過半数をめぐる主導権争いでは、会派連携の組み合わせや議員の切り崩しなど多数派工作の過熱を危ぐする。平成23年の議長選を舞台に起きた贈収賄事件の再現などは言語道断だが、そこに至らないまでも、大義も節操ない権力争い、有権者不在の離合集散劇を許してはならない。

 市議選と同日投票で行われた市長選は、史上最多の7人が出馬。現職の仲川元庸市長が再選されたものの、有効投票の3分の2を超える“死票”が生じる結果となった。この現職批判票を代弁、市政に届けるのも市議会の役割だ。そのためにも有権者から見えるところで、分かりやすい議会運営を実現してほしい。市民党を標榜する同市長と各政党会派が対峙、緊張感のある政策論戦を期待する。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド