募集「悩み」や質問募集 僧侶3人がお答えします

金曜時評

奈良を誰に託すか - 主筆 甘利 治夫

 参院選も中盤を迎えた。

 猛暑のなかで、各候補者が熱い訴えを続けている。しかし、有権者の方は少し冷めた目で見ているようだ。早くから政治決戦と位置付けられたにもかかわらず、昨年暮れの総選挙のような熱気が感じられない。

 民主党政権が崩壊し、政権を奪還した自民党の勢いが、そのまま持続しているからなのだろう。1年ごとに首相が変わるという不安定な状況から、安定した政権のためには、参院における「ねじれ」状態の解消が焦点だったし、この参院選の重要性もそこにある。各種世論調査で自民党の優勢が伝えられるように、そんな空気になってたことで、関心が薄れ、低投票率が懸念されている。

 安倍政権の7カ月はどうだったか。そして山積する内外の諸問題を、どの政党、候補者に託すのか。4年前には、そんな民意が民主党政権を誕生させた。1票の重みを証明できたし、国民が政権交代を可能にした。だからこそ選んだ政権の失政は、選んだ側が耐えねばならない。有権者の責任がそこにある。

 同じことは、14日に告示される奈良市の市長選、市議選にもいえる。こちらは身近だけに、市民の関心も高い。参院選と同時に行われるため、それがどのように影響するかも見ておきたい。

 4年前の市長選は、民主党の政権交代前夜の勢いが、そのまま出た。無名の新人だった民主党推薦の仲川元庸氏(37)が初当選した。しかしながら、仲川市政の4年間をみると、民主党の政権運営に似て、厳しいものだった。就任早々、本会議中にガムをかむなど、若さゆえのお粗末さが批判を浴び、議会との連携は終始、うまくいかなかった。確かに実績を上げた改革もあったが、認知度は低い。

 この市長選に、現時点で立候補を表明しているのは、現職の仲川氏に対し、新人はいずれも無所属で、市議で元副議長の池田慎久氏(44)、みんなの党推薦の前県議・浅川清仁氏(58)、昨年の衆院選で日本維新の会から出馬し落選後離党した元国土交通省職員の大野祐司氏(52)、共産党推薦の元市議・中村篤子氏(55)、市議の天野秀治氏(51)、そして自民党推薦の元衆院議員・森岡正宏氏(70)の計7人だ。

 新人組はいずれも無名というわけではなく、選挙経験のある人ばかりだ。選択肢の幅が広がるのはよいことだが、これほど多くの新人が出馬するのは、やはり仲川市政への批判ともいえる。しかしながら、本気で変えたいのかは疑問だ。

 なぜなら、大量出馬により仲川市政の批判票が分散することは間違いない。本紙の事前の街頭世論調査でも、批判組の支持が大きく分かれ、ダンゴ状態のなかで現職がやや優位の傾向が出ている。

 現市政を継続するのか、変えるのか。その判断は市民に託される。過ぎた4年は早かったが、これからの4年は長い。参院選と市議選と、そして県都の市長選に悔いのない1票を投じてほしい。

 

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド