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金曜時評

議会も監視に動け - 論説委員 小久保 忠弘

 県会はじめ各市町村議会役員の改選シーズンを迎え、新議長、副議長が次々と誕生している。「十年一日のごとく」代わり映えのしない議会や、紳士協定に基づき定期的に顔ぶれの変わる議会、もめにもめて深夜に及ぶ議長選出劇などさまざまだ。

ここで何度も蒸し返して恐縮だが、昨年の奈良市会のような醜態は見たくないと誰しも願うところだろう。議長選をめぐる買収工作で逮捕者まで出した、いわくつきの奈良市議会である。つまるところ市民の代表として発言し、行政をチェックすべき議員の役割を忘れ、政策を実現するための会派なのか、権益を死守し自派勢力を拡大させるための会派なのか目的のはき違えたわけの分からない議員活動が背景にあったのだろう。次の議長選挙はどうなるのか、今度は市民注視の中で行われる。分かりやすい選ばれ方がされるだろうと信じたい。

 その奈良市で、またもや幹部職員がらみの不祥事が明らかになった。保健所・教育総合センターの建設工事をめぐり、工事費用を水増し請求し、多額の現金をだまし取ったとして市民生活部参事らが逮捕された。

 同施設の愛称は「はぐくみセンター」という。JR奈良駅前に、地上9階建ての威容を誇る教育と保健の殿堂。市民の健康や子育ての拠点となるべき建物の建設の裏に、不正を働く職員が暗躍していた。

 「また奈良市」なのである。市民税の着服で2人の幹部職員が逮捕されのはまだ記憶に新しい。「不祥事のデパート」と呼ばれて、再発防止に努めると市長が繰り返しても、まだまだ出てくるのではないかと市民の不信も募るばかりだった。中核市になり、役所の機構も大きくなると目が届かない部分も出てくるなどとのんきに構えている場合ではない。市役所の中に不正がはびこりやすい土壌があるに違いない。この際、他部署も含め徹底的なメスを入れる必要があろう。

 今回の手口も市民税着服の時と同様、担当者の立場を利用して巧妙に工作していた。市民に仕える公僕どころか、公共工事に巣食う悪徳議員も顔負けの所業というべきか。

 それにしても責任者である仲川元庸市長の姿が見えないのは面妖だ。一昨日は総務部長と建設部長が謝罪会見し、昨日は議会の産業文教委員会で副市長が説明し謝罪した。市長が「市民の皆さまに深くおわびする」とのコメントだけで済ますのはいかがなものか。民間の不祥事社長と同じように、自ら会見し顔をさらしておわびすべきではないか。

 再び、ここは議会の出番であろう。議会の質にもよるが、やる気があるのかないのか。当該行政をチェックできないのだとしたら、市民が直接のぞきに行って監視するしかない。実効のある働きができなくて何のための議会かということになろう。もはや議会は無用の長物であり、無駄飯を食われてばかりではたまらないとの声も出よう。このままでは、奈良市民の順法意識まで問われそうだ。

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