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金曜時評

政治家は行動せよ - 編集委員 北岡 和之

 新年度がスタートした。早々に、聞いたことのない「爆弾低気圧」による春の嵐が列島を襲い、県内でも被害が出た。昨年の東日本大震災や台風12豪雨災害の記憶を引きずったままだから、異例の自然災害には恐怖心を引き起こされ、体が硬くなる。

 さまざまな報道によると、永田町の住人の多くは「今年は選挙の年」と語っているらしい。今月1日に奈良市内で開かれた自民党県連の政治資金パーティーの席でも、石原伸晃・同党幹事長が「今年は間違いなく選挙の年だ」と述べたというから、選挙が行われる可能性は高いのだろう。無論、ここで言う選挙とは衆院選(総選挙)のことだ。

 消費税増税問題があり、それに伴う国民新党の連立政権離脱騒動があり、最高裁が「違憲状態」と断じた衆院の定数見直し問題があり、原発の再稼働問題があり、米軍基地問題があり…。数え上げるときりがないほど重要課題が山積していて、しかも民主党政権の動きは遅い、となると衆院解散・総選挙は遠くないと感じさせるには十分だ。

 ところが、県内はいたって静かだ。記者に聞いても衆院選の話はほとんど聞かないという。重要課題が多すぎて、国会議員が審議に追われているというのなら、それはそれで納得できる。拙速な結論を下すより、全議員が熱い論議を戦わせることに時間を費やすのは決して悪くない。大いに論議せよ、だ。

 ただもう一方で、政局をにらんだ、政治家の腹の探り合いのようなことが水面下で繰り広げられているらしい点も見逃せない。

 こちらは「政界再編」も視野に入ってくるだけに、いわば政治家にとっては生き残りをかけた戦いという側面を内包している。言うまでもなく新党への動きだ。今のところ、マスコミの注目を集めているのは大阪維新の会という存在。同会代表の橋下徹大阪市長と石原慎太郎東京都知事が会談したことも報じられ、大方の国会議員にとっては、国会での論戦より気になるのかもしれない。

 加えて、消費税増税関連法案に反対する民主党の小沢一郎元代表グループの動きが政局化へ拍車をかける。衆参両院の29議員が同党役職の辞表を提出しているといい、政府の政務三役4人の辞任も了承された。小沢という人は、かつて自民党から飛び出した時から政党の固定化などには見向きもしていなかった。この小沢グループが政界再編に向けてどう動くかは非常に興味深い。さらに橋下・大阪市長が小沢氏を高く評価しているいうのもよく聞く話で、それが既成政党に与えている影響は相当なものと推測される。

 先月下旬には、大阪維新の会府議団の幹事長が、わが県の県議らと府庁で面会したという。この幹事長は「夏くらいに(新会派を)設立しては」などとおせっかいを焼いたそうだ。文芸批評家の故・江藤淳さんの「作家は行動する」ではないが、県関係の政治家も、本質的なところでもっと行動してはどうか。

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