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金曜時評

クリーンな議会へ - 編集委員 辻 恵介

 奈良市議会の3月定例会が7日開会。1235億5千万円の平成24年度一般会計当初予算案など71議案が上程された。8日から11日までの休会をはさみ、12日に再開、代表・一般質問がスタートする。

仲川元庸市長が「攻めの一手」として、少子化対策・環境・観光などに重点を置いたという予算編成について、論戦が繰り広げられる。

借金である市債残高が24年度末には一般・特別・公営企業会計合わせて約2800億円になるとの見通しがあり、巨額の“重し”が市民の背中にのしかかる。

 世界的な不景気の嵐が吹きすさぶ状況の中で、「奈良市の産業を変え、収益構造を変える」とする仲川市長の大いなる意気込みに対して、どういった質疑・答弁が交わされるのか、市民ならずとも、その行方が気になるところだ。

 その一方で、忘れてならないのは、昨年6月の議長選をめぐる賄賂申し込み事件だ。無所属の天野秀治議員が、前議長の山本清被告=贈賄申し込みの罪で起訴済み=とともに告発していた「氏名不詳」の贈賄工作主導者について、大阪地検特捜部は2日までに「不起訴」処分としたという。山本被告起訴後も継続して、市議らへの事情聴取が行われたものの、立件までには至らなかったもようだ。

 議長経験も豊富なベテラン議員だった山本被告は、1人で“泥”をかぶった形になっているが、そんなことでいいのだろうか。事件の背後でシナリオを書いて、それを実行させた人物はだれなのか、組織の関与や役割分担はどうだったのか、など市民が知りたい肝心な部分がいまだに何も解明されていない。

 この不起訴処分により、疑惑解明の舞台は議会自身に移ったとみるのが妥当だろう。

 2月29日に開かれた市議会運営委員会では、この事件と、元市職員による公金着服事件の調査特別委(百条委)の設置を求める請願について審議はされたが、共産党を除いて「継続審査」とすることでまとまったという。

 これまでは「地検が捜査中だから」といったことを理由に、こうした後ろ向きの対応が続いていたが、これからはそうはいかない。議会自身の手によって、他にも役員改選にまつわる「古い“しきたり”」や「勢力関係などを背景にした“綱引き、囲い込み”」などが今まであったのかどうか、真相を明らかにしてほしい。

 市民を代表する議員として「説明責任」を果たすことが、今求められている。逃げ腰では、いつまでたっても同じことが繰り返されるだけだ。今こそ、議会改革を進め、後に続く未来の議員たちのためにも、開かれたクリーンな議会にするためにも、“大掃除”に汗を流すべき時ではないか。

 キーワードは「全容解明」。疑惑をうやむやにせず、市民の信頼にこたえるべく奮闘してこそ、議員は職務を全うしたと言えるのではないか。

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