特集奈良ラーメン探検隊活動中!

金曜時評

けじめは疑惑解明 - 主筆 甘利 治夫

 奈良市の新年度予算案が発表され、7日に開会する定例議会に提案される。

 仲川元庸市長は少子化対策や環境、観光に重点を置いた「攻め」の予算としているが、借金となる市債が大きく増加している。議員の皆さんは、予算書をじっくり読みこんで、本会議に臨んでもらいたい。

 その議会だが、昨年6月の議長選をめぐり、大阪地検特捜部が前議長の山本清被告(74)=同年9月に議員辞職=を贈賄申し込みの罪で起訴し、引き続き他の議員からも事情聴取を行っている。この問題で、市民から議会に提出された調査特別委員会(百条委)設置を求める請願は、先日の議会運営委員会で、早々と継続審議が決められた。「捜査の進展を見て」といった、これまで通りの主張で、議会自らが疑惑の解明をしようという姿勢はない。

 地検の捜査の過程は、市民には見えてこない。それだけに、市民に見える形の調査は、百条委しかないだろう。百条委であれば、虚偽の証言をすれば罰則がある。今度の問題で浮かびあがった疑惑に対して、どの議員がどのような行動をとり、どう発言したかが明らかになる。多くの議員が当事者であり、会派によっては不都合なことがあるから、疑惑の解明に消極的なのだとしか思えない。

 起訴された山本被告が所属していた政翔会(浅川仁幹事長)は、松田末作議員も抜けたため6人となり、7人の公明党(山中益敏幹事長)と共産党(北村拓哉幹事長)に次ぐ第3会派となった。それでも前副議長の中西吉日出議員をはじめ、政翔会と同一歩調をとった無所属議員がいるため、存在感は維持している。

 今度の事件の焦点は政翔会だ。所属議員だった山本被告の逮捕の時には、会派としてのコメントもなかった。それどころか浅川幹事長が所在不明となり、3週間以上も姿を見せず、起訴後に、委員会の出席を理由に、ようやく会見している。それも関与を否定するだけという中身のない内容で、疑惑は一層深まった。

 浅川幹事長ら4人は議長選前日の夜遅く、上原雋議長が幹事長だった「政友会」の北良晃議員の自宅を訪れ、「保守の大同団結」の話をしたという。政友会は議長候補に上原幹事長に決めていたのに、その切り崩しを図ったものだ。結果的に北議員は白票を投じており、その白票が事件のポイントであるため、切り崩し工作が問題となった。

 山本被告らが、他の無所属議員への白票依頼で、米や現金、ポストなどの見返りを示して贈賄工作をしていただけに、浅川幹事長らの切り崩しに関わる内容に焦点が集まる。同時に、議長選の約20分前に政翔会が公明候補への投票を決めたのに、無所属議員4人がまったく同じ投票をしていたため、そこに誰が指示し見返りがあったのかという疑惑が浮かび上がっている。

 山本被告の行動、そして政翔会幹部らの行動から、目的をもって動いていたのは間違いない。意思があっての動きだ。議長選での得票結果が、それを示しているし、同数になったことで白票の意味が明確となった。

 先の会見で、浅川幹事長は「何らかのけじめをつける」としたが、どのようにけじめをつけるというのだろうか。

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド