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金曜時評

政治家が問われる - 編集委員 北岡 和之

 大きな災害や事故で国の体制が揺らぐことがある。わが国では東日本大震災とその余波である福島第1原発事故、お隣の中国でいえば多数の死傷者を出した高速鉄道事故が挙がる。いずれも国の責任が厳しく問われる。

 地震と津波という自然災害としての側面を別にすれば、どちらも文明―科学技術の水準や情報公開度、問題解決策、被災者への対応の仕方などで国民の不信・不満の思いが高まっていて、今後が注目される。

 中国の方は、鉄道担当部局が事故直後には落雷による「天災」を強調していたのに、一転して信号設備の欠陥という「人災」を認めた。素早い対応はいいことで、じっくり調査して事故の原因を詳しく発表してほしい。ごまかしていては、中国内だけでなく世界から厳しい目が向けられることになる。

 翻ってわが国内を見れば、「人災」の感が強い福島第1原発事故処理、そして震災の被災地復興などの面で政府の対応の遅れが目につく。与党・民主党では菅直人首相の後継選びが最大の関心事らしく、党代表選への“立候補予定者”の名前が次々と挙がる。馬淵澄夫衆院議員(県1区)もその1人。元首相補佐官は首相を批判して権力を求めるようだ。

 片や最大野党の自民党も、急激に支持率が上がったという話は聞かない。政権奪還の好機という状況が、しっかりつかまえられていないのだ。永田町を眺めていても分かりにくいが、身近な所をぐるっと見回すだけで、その要因が浮かび上がる。

 衆院県1区は首相候補予定者が居座り、対抗すべき自民党の支部長がいない。次期衆院選の候補者となる人が欠員のままだ。どうするのかとうかがっていたら、全国公募すると決めた。ところが、この大切な事を決める党県連の選対本部会議には一部のメンバーだけが出席。公募の内容についてどれだけの論議がなされたのかなど、疑問を残した。

 疑問は、公表された募集要項の内容に表れた。「…党員との交流や活動に精進し、地域に根ざして、自ら選挙体制を確立すること」と当たり前のことが書かれている。だが、党県連を率いる奥野信亮会長がこれを実践してきたかどうか。なぜ、これまで「あの人は東京の人」と地元で言われ続けてきたのか。

 もう一つ挙げる。「第一支部・後援会の政治活動に要する費用や、事務所並びに選挙に係る経費は、原則、自己負担とする」。「原則」としてはあるが、財政事情の厳しい野党にあって、この条件は引っ掛かる。「政治とカネ」が問題となって久しいが、政治にカネがかかるのは当たり前だ。この項目についても、奥野会長の胸の内をのぞいてみたくなる。

 どれだけ応募者があるか。募集要項に頼るより、足で人材を発掘すべくだと思うがどうか。奥野会長の行動力も試されている。

 首相の後継人事が気になって仕方のない民主党。効果的なアピールができず、党の基盤を築けない自民党。一番つらいのは県民だ。

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