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金曜時評

問われた「政翔会」 - 主筆 甘利 治夫

 県都・奈良市の6月定例議会は、きょう1日閉会する。

 注目の役員改選では、議長に保守系会派「政友会」の上原雋氏、副議長には民主党の松村和夫氏が選ばれた。政友会はたった4人の第5会派、民主党は6人の第4会派だ。おそらく開会前には誰にも予想できなかった顔ぶれだろう。「議会改革をしよう」という、政党、会派の主義主張を乗り越えて、その1点でまとまった。

 8人を擁する最大会派「政翔会」(浅川仁幹事長)という、会派そのものの体質が問われた改選劇だ。

 最大会派であることの「おごり」は、個々の議員のこれまでの言動に現れている。所属議員をみれば、本紙が政治家としての資質を追及してきた議員がいかに多いか。

 まず浅川幹事長は、数の力で会派の議員をコントロール。「正副議長になりたい」議員らを集めている。その数の論理が、庁内においては、幹部職員に対して「どう喝」の形となり、本紙への度重なる情報提供にもなっている。

 また長老格である前議長の山本清氏の関係する会社は、談合問題で指名停止と罰金刑を受けた。副議長経験者では、森田一成氏の関税法違反疑惑が発覚して大きな問題となり、松田末作氏は、電力会社に対する長期の損害賠償費の未払い、下請け業者には15年以上にわたる工事代金の未払いなどが発覚した。いずれも悪質な事例だ。

 そして池田慎久氏は、市長選出馬への思惑から、当時の市長追い落としを画策。職員を使って公文書を流失させた。結局、地方公務員法違反(唆し)で逮捕され、懲役6カ月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。このほかにも引退した前議員による、市の女性職員に対する「セクハラ」問題もあった。

 池田氏の場合は、今年4月に政翔会入りしたものだが、同僚議員から「議長ポスト狙い」と指摘され、まさに「政翔会にあらずんば」の「おごり」を裏付ける。また「池田氏のいるところに中西氏あり」といわれるほど親密な前副議長の中西吉日出氏だが、中西氏と浅川氏の関係も注目される。無所属であるのだから、今度の役員改選でも、さっさと副議長の辞表を出せばよいのに、居座った。

 政翔会が副議長選で逆転を画策する時間が欲しかったのだろうが、浅川氏の意向通りに動かねばならなかった中西氏の周辺に関心を持たざるを得ない。池田氏に続いて政翔会入りと目されているだけに動向を注目したい。いずれにしても、最大会派なるが故に、所属議員に関係する本紙に寄せられる情報は多い。その点検もせねばなるまい。

 今議会は、最大会派であることで、議会を左右してきた政翔会への反発が、頂点に達した。今回の共産党の英断も、悪しき現状を打破するために反「政翔会」連合に加わったものだ。これまで政翔会と連携してきた公明党もそうだ。クリーン政党といいながら、問題議員の多い会派となぜ連携してきたのか。国政と同じように民主党や共産党と連携できないとしても、政翔会と組む理由にはならない。それだけに、正副議長選で独自候補を出すことで、一応の面目を保ったといえよう。

 一つの会派に匹敵する7人の無所属議員の行動にも目を光らせたい。1人の投票行動が全体を決する場面がある。その責任は重い。それだけに議員同士の利害関係で、左右されることがあってはなるまい。

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