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金曜時評

政治の志を原点に - 編集委員 水村 勤

 来年4月に予定される統一地方選挙まで、あと半年を切った。知事選挙には荒井正吾知事が出馬の意向を表明し、再選を狙う。対立候補は出るのかどうか、主要政党の動向に注目が集まる。知事選と同日選となる県議選については、民主党の候補者擁立が着々と進んでいるのが目につく。他の自民、公明、共産などの各党も現職を中心に候補者擁立が進められているが、新人の顔ぶれがどの程度になるのか気になるところだ。

地方政治の役割は、住民の暮らしに身近な政治課題を解決することが中心となるが、国と同様に地方自治体も膨大な借金を抱えて財政難の中にあり、独自の政策運営が難しくなっている。本県は他県に比べると市町村合併の実績が少ない。そうした中でいかに住民サービスを低下させないで、さらなる行政運営の向上を目指していくことには困難が伴う。

 御所市では市内三つの保育園と幼稚園の統合計画を進めようとしているのに対し、反対派によって統合する保育園と幼稚園を廃止する市の条例改正案を差し止める訴訟が起きた。結局、保護者の代表や有識者を入れた第三者委員会を設置してそこで再検討するという和解となったが、財政支出に優先順位を付けざるを得ない自治体財政の厳しさの一端を浮き彫りにするものでもあった。

 財政の現状と住民の希望が相容れない課題に突き当たった時にいかにすべきか。いやしくも、地方政治を志す者にとっては、沈黙は許されない。自らの見識にかけて信じる方向を示さなければならない。

 自治体財政を少しでも改善するために、県をはじめ各自治体は税収確保の取り組みを強化している。滞納者に対して強制的な対応も併用し、滞納率改善に効果を上げたところもあるが、歳出カットと滞納者対策だけでは限界がある。新たな収入確保は大きな課題だ。企業誘致も叫ばれているが、視点を変えて「まちづくり」と小規模なコミュニティービジネスの連携に注目してみてはどうか。

 地域の実情に精通する立場から、それぞれの地域の「まちづくり」と経済をリンクした政策提案を行い、地域活性化の道筋を実のあるものにしていくことはできないか。国や県にばかり頼らず、自ら提案して自立の一歩を政治家が起こすことはできないものか。

 国政では野党に転落し、県議会では3派に分裂した自民党県連に対しても一言、申し述べておきたい。新会長を公募で選出するようだが、人格識見ともにふさわしい人物の登場を望みたい。さらに、民主党の敵失を指摘するだけでは政権党への展望を開くことはできないだろう。県民の失望を買うばかりだ。

 人事はもちろん大事だが、本当の意味で地域が元気になるような経済政策を中心とした総合的な施策を打ち出すために、党員の英知を結集する取り組みをぜひ、見せてもらいたいと思う。

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