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金曜時評

つながりこそ大切 - 編集委員 辻 恵介

 猛暑続きで、今の日本列島は人も社会も疲弊の度合を深めているように思える。熱中症による病院搬送者は全国で3万人を超え、死者も130人以上となった。17日までに県内でも6人が亡くなっている。世界的な異常気象は、とどまることを知らない。

そんな中で、政権交代はしたものの、政界の「天気図」は不安定なままで推移している。疲れきった国民や社会、経済を活性化させる具体策もなく、政界は9月の民主党代表選挙に焦点が移り、党内の権力争いだけがやけに目立つ。いつまで、こんな状態は続くのか。

 研修会なる会合で、小沢氏の出馬などが論議されたようだが、失礼ながらテレビに映る議員さんたちの視線の先には、国民生活の現状など見えていないように思える。グループの結束という狭い「つながり」を強化することにのみ奔走しているのではないか。

 県内に目を転じれば、野党の自民党も迷走が続く。参院選前に県連一本化の提案があったのに、会長代行の米田氏らが門前払いしたという話は、その象徴なのかもしれない。過去の紆余(うよ)曲折を乗り越えて、つながりを取り戻し、広く組織を活性化させ、強化していくせっかくのチャンスをつぶしてしまったことは残念でならない。来年の統一地方選を控えて、こんなことで勝利できるのだろうか。組織がバラバラでは八方ふさがりだ。

 話はがらりと変わり、流れから少しずれるかもしれないが、私事を書くことをお許し頂きたい。お盆に7年ぶりに両親の故郷長崎へ墓参りに行って来た。墓地では初盆の家は5時ごろから灯籠(とうろう)を灯す。それを目印に集落の人たちが火を付けた線香の束を持って次々にやって来て「初盆さんでございます」と遺族に声をかけ、手を合わせていた。

 灯が消えると家に戻り、精霊船に乗せる灯籠や供物を用意し、波止場へ。以前は各家ごとに舟を用意したが、時代の流れで簡素化され、読経の流れる中、長さ2~3メートルの小舟2隻がボートに曳(えい)航されて行った。

 一連の行事では、先祖との血のつながりはもちろん、地域の人々との地のつながりを感じさせられ、とてもうらやましく思えた。

 都市部では、電車内などで携帯の画面ばかり見ている人が激増している。人間関係はますます希薄になり、周囲への「無関心度」は高まるばかりに思える。だからこそ、感性が豊かな子どもの時期から、そうしたつながりの大切さを教えることが、今後ますます重要になってくるだろう。

 無機質な画面ではなく、ぬくもりや優しさがいっぱい詰まっている絵本の魅力を親子で楽しめる夏休み恒例のイベント「絵本ギャラリーin奈良」が、今年も奈良教育大学で21日、22日に開かれる。絵本を見る、触る、読んでもらうことで五感が育てられていく。初日には人気者の「せんとくん」も登場。親子のつながりを深めるひとときが待っている。

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