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金曜時評

候補予定者に聞く - 主筆 甘利 治夫

 次期総選挙の行方を占う「形」になった県都・奈良市の市長選挙と市議会議員選挙が、まもなく告示される。

 今回の市長選が、疑似国政選挙の図式になったことが悔やまれる。中央の政党対決が、地方に生きる人々の暮らしと、どう結びつくのか。政党の主義主張は分かるが、批判するだけでなく、何をどのように変えていくかを、市民に示さねばならない。理想を語るだけなら、当選を目的とした選挙目当ての訴えにすぎない。

 それだけに、市長選に立候補予定の3人をしっかり見ておきたい。

 まずは「藤原市政」をどう評価するのか、批判するのか、そこを明確にすべきだろう。とくに藤原昭市長の不出馬の原因となったJR奈良駅前ホテル建設問題に対し、どのように認識し、当選後にどうするのかを聞きたい。これがなければ、藤原氏出馬もあったはずだし、このような図式の選挙にはならなかったはずだ。

 立候補予定者3人の「マニフェスト」あるいは「プログラム」が発表された。それぞれのカラーもあり、独自の内容や対立するものも見受けられるが、大筋では表現の仕方が違い、財政改革、福祉・医療、文化と観光などに触れ、奈良市の未来を語っている。それらは選挙戦で訴えたらいいが、どうしても聞きたいことがある。

 まず自民党推薦の前市長・鍵田忠兵衛氏だ。

 前回選挙で、市民から明確に審判が下った。そのことについての弁明はないのか。「税金未納」問題を、市民は忘れていない。言い訳をするのか、きちんと釈明するのかが聞きたい。ましてや前回の審判をおかしいなどと言えば、市民をばかにし、民主主義を否定することになる。

 そして藤原市政の評価だ。前回選挙の対抗馬であり、その藤原氏に敗れた。その4年間を全否定するのかどうか。推薦した自民党をはじめ保守系の多くの議員が、藤原市長を支えてきた。継承すべきは継承するのかどうかだ。

 次に出馬会見で政党とのしがらみを否定した民主党推薦の仲川元庸氏だ。

 マニュフェストをしっかり読んだが、具体的な数字、達成時期などが明記されたことは評価できる。裏付けとなる財源にも触れているが、「大型箱モノ事業のゼロベース」といった約束は、そのようにできるかは別問題だ。

 そして「しがらみ・利権政治と決別」との訴えは明快だ。まさに藤原市政批判であり、藤原市政との決別を意味している。現市政を批判する立場と認識したい。それだけに、会見の時に、民主党との「しがらみ」を、なぜ明確にしなかったのか。若い候補予定者が、居並ぶ記者に対して、虚偽の説明をしたことは事実として残る。

 共産党が推薦する小林照代氏は、市議24年のベテランだ。同党にとっては前回選挙は苦汁の決断だった。鍵田氏の再選阻止のため、藤原氏応援という立場をとった。時間のない、あの状況下での判断はよかったと思うし、市議の議席も増やした。

 しかしながら、4年を総括すれば、藤原市政に失望し、独自候補擁立という、同党の本来の姿勢だ。当然、自民推薦の鍵田氏、民主推薦の仲川両氏を厳しく批判する。

 いずれにしても、当選後の議会構成のなかで、藤原市長の不可解な引退劇となったホテル問題への取り組みを注目していきたい。誰が選ばれても、しっかり監視していく。

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