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金曜時評

自民の党方針問う - 編集委員 松井 重宏

 新型インフルエンザの感染が拡大し、世界保健機関(WHO)は警戒水準を最高レベルの一つ手前まで引き上げた。幸い国内ではまだ感染者が確認されていないが、水際対策や抗インフルエンザ薬の供給体制整を強化するなど緊張感が高まっている。



 こうした中で、盛り上がりを見せ始めていた衆院解散ムードが再び雲散霧消しそうな気配になってきた。きのう河村官房長官は、新型インフルエンザが大流行すれば「集会を自粛しないといけないから、選挙運動ができない」と指摘したが、言うまでもない。ただ衆院の残り任期がわずか4カ月に迫っているのも事実。「私が決める」と繰り返す麻生首相の判断が注目される。



 一方、県都の奈良市では市長、市議の任期切れが衆院より早く7月末にやってくる。こちらは既に7月12日投開票の日程が決まっており、市長選には自民党衆院議員の鍵田氏が出馬を宣言。民主党の馬淵県連会長も連休明けをめどに同党が推す候補予定者が名乗りを挙げると明らかにした。



 奈良市長選が衆院選と連動するのかどうかは解散日程次第だが、同市民だけでなく県民全体にとっても大きな関心事。民主党は党推薦や支持について明確にしていないが、前面に出た戦いになるのは必至。これに対して共産党の最終対応が遅れているが、何より有権者から見え難いのが自民党の姿勢だ。



 鍵田氏は先に次の衆院選には出ない意志を示した上で、1区から立候補を目指す元自民党衆院議員の森岡氏支持を表明、事実上の後継者指名を行い、時期を置いて市長選転戦を発表した。この間、現職の藤原市長が任期限りで引退を決める意外な展開となったこともあり、衆院選1区に森岡氏、奈良市長選は鍵田氏による保守一本化―が既定路線のようになっているが、実際は森岡氏の自民党復党は決まっておらず、前回市長選で藤原氏を守り立てた保守系市議の判断も問い直される。



 4年前、当時市長だった鍵田氏の税金未納問題から市議会による不信任決議を経て市長と市議のダブル選に突入した経緯や、郵政民営化問題を焦点に行われた衆院選1区の候補者調整はともに事情が複雑だが、だからこそ責任政党を自認する自民党は次期奈良市長選、衆院選に向けて課題を整理、姿勢を正す必要がある。景気対策や新型インフルエンザへの対応が重要なのはもちろんだが、その中で任期満了の時間切れで、うやむやのまま選挙になっては有権者が判断材料を失う。



 いま麻生内閣の支持率は上昇しているが、西松建設巨額献金事件による民主党・小沢代表への批判の裏返しに過ぎないとの見方も強い。「どちらがましか」の選択では国政が直面する難局を乗りきれない。同様に奈良市政も、厳しい財政運営と起死回生を期す平城遷都1300年祭への対応を並行して進める重要な時期にあって「市長になりたい人より、なってほしい人」を希求している。

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